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チーム医療は、日本の医療の在り方を変えるキーワードとして、今注目されています。
なぜなら、質が高く安心な医療を求める声がある一方、医療現場の疲弊があるからです。医療の複雑化に伴う業務増大と質を両立するため、チーム医療の期待は高まっています。その中での病院薬剤師は、調剤業務だけでなく薬物療法などで、重要な役割を果たしています。
本記事では、チーム医療の薬剤師について詳しく解説します。
Contents
1. チーム医療の概要
1-1. チーム医療とは
チーム医療とは、一人の患者さんに複数のメディカルスタッフが連携して、治療やケアに当たることです。各医療スタッフが、相互に各分野の専門技能を理解することが大切です。また多くの職種とコミュニケーションを取り、意思決定する力も求められます。
近年では、医療の高度化と複雑化に対応するため、多職種が専門性を提供し合う必要があります。そうすることで、入院中や外来通院中の患者さんの生活の質(QOL)を向上できます。
つまり、病気を診るだけではなく、“人そのもの”を診ることが求められています。人の身体と心は繋がっています。身体の「病んでいる部分」だけでなく、心理面や社会的側面も含めた全体をケアする必要があります。
これらを機能させるためには、「コミュニケーション」「情報共有化」「チームマネジメント」が重要です。この3つを標準化し、専門的技術を効率的に提供することが求められています。
1-2. チーム医療の4つの要素
チーム医療の必要性が訴えられる一方で、その困難さも指摘されています。その理由は、チーム医療に対する志向性が4つあることです。具体的には、「専門性志向」、「患者志向」、「職種構成志向」、「協働志向」があります。これらの要素がお互いに補完し合い、統合されることでチーム医療の効果が高まります。
1-3. チーム医療のメリット
1-3-1. 患者さんにとってのメリット
チーム医療に参加しているメディカルスタッフのそれぞれの専門技能が発揮されれば、病気の早期発見や早期回復が期待できます。また重症化の予防や生活の質の向上など、患者さん自身の健康全体のケアにもつながります。
それぞれの職種の専門的な視点から見た患者さんの情報を共有することで、治療の効果や回復度が把握でき、医療ミスの防止など安全性向上効果もあります。
1-3-2. 医療サービス提供側のメリット
チーム医療で連携することで、各自が自分の専門領域に関わる仕事に集中できます。そうすることで、各医療従事者の負担が軽減できます。
2. チーム医療の薬剤師の役割について
2-1. 急激に進化する薬物療法
チーム医療では、医師や薬剤師、看護師、管理栄養士など、様々な医療スタッフが関わります。また臨床検査技師や放射線技師、理学療法士、救急救命士などが参加することもあります。
そして病状に応じてチームを編成し、意見を交換しながら患者さんの状況を分析します。また患者さんが心身ともに健やか生活が送れるように治療とサポートを推進します。
チーム医療に参画する病院薬剤師には、様々な役割が求められます。調剤業務や製剤業務だけでなく、薬物療法も非常に重要です。近年、医薬品と薬物療法は著しい進歩を遂げています。
がんの薬物療法には、「化学療法」「内分泌療法(ホルモン療法)」「分子標的療法」があります。またがん治療では、薬物療法だけでなく手術や放射線治療と組み合わせることもあります。患者さんによって、「入院治療」か「外来治療」を行います。
また近年医薬品と薬物療法は、急激に進歩しています。例えば、「分子標的薬」や「抗体薬」の急速な開発と臨床使用があります。また抗がん剤の組み合わせに関する「プロトコールの設計」と「臨床使用」も求められています。「重篤な副作用防止」や「後発医薬品対応」も重要な要素です。
2-2. 薬物療法における薬剤師の役割
薬物療法で使用される薬は、様々な種類があります。例えば、がん治療においては「細胞障害性抗がん薬」「内分泌療法薬」「分子標的薬」などがあります。
病院薬剤師は、それらの投与設計や適性な使用の推進、副作用のモニタリングを行います。薬物療法は病気を治すだけでなく、完治しなくてもより良い人生を歩めるようにすることも、大事な目的です。
3. 病院薬剤師に求められる役割とスキル
チーム医療のスタッフとして、病院薬剤師には、以下のような役割やスキルが求められます。
3-1. 入院・外来の患者さんへの調剤業務
チーム医療の一員として、入院中の患者さんや外来の患者さんへの処方薬を調剤します。入院時には、患者さんと面談を行います。そこで、「薬の内服状況」「市販薬や健康食品の使用状況」「副作用歴」「アレルギー歴」等を確認します。
薬の使用前には、「疾患」「症状」「年齢」「体格」「腎臓や肝臓の機能」などを把握します。その上で、「投与量」「投与速度」「相互作用」などの問題がないかを確認します。
薬を使用時には、「効果」「飲み方」「副作用とその対処法」を、患者さんやその家族に説明します。また退院時には、退院後の生活に合わせた薬の使用の説明をします。これらの仕事には、幅広い薬剤師経験と、医薬品の高度な知識が求められます。
3-2. 服薬指導や処方薬提案などの病棟業務
入院中の患者さんに対し、カルテや検査、治療データに基づいた服薬指導を行います。それらの服薬状況を確認し、医師や看護師と情報共有し、より良い処方薬の提案もします。近年では、このように診断結果に基づいて薬剤師が処方設計や提案を行い、それをもとに医師が処方する手順も行われています。
これらの業務には、チーム医療として様々な職種の方と円滑に進める「コミュニケーション能力」が求められます。また業務の調整を円滑に進める「調整能力」を重要です。
4. チーム医療の薬剤師事例
チーム医療推進方策検討ワーキンググループが作成した『チーム医療推進のための基本的な考え方と実践的事例集』は、参考になる事例が多く掲載されています。そこから一部を、ご紹介します。
4-1. 手術室に薬剤師が常駐/広島大学付属病院
広島大学付属病院では、医師、薬剤師、看護師などの安全な手術のためのチームを構成しています。そして手術で使用される医薬品の管理については、手術室に常駐している薬剤師が担当しています。
具体的には、麻薬や毒薬など手術部内の全ての医薬品管理を行っています。また使用薬剤のセット、注射剤混合調製、各職種への医薬品情報提供も行っています。
4-2. 褥瘡対策チーム/脳血管研究所美原記念病院
脳血管研究所美原記念病院では、看護師が褥瘡発生リスクを随時評価しています。また医師や薬剤師、看護師がベッドサイドにて薬剤の選択や治療方針の決定を行います。そして、ハイリスクな患者さんに対して積極的な体位変換を実施しています。
その結果、ハイリスク患者が多い中で褥瘡発生率を低く抑え、治癒率も良好な水準となっています。
4-3. せん妄対策チーム/千葉大学医学部附属病院
せん妄は、全患者の10~30%に発生するといわれています。また一度発生すると、必要な治療やケアの実施が困難となるだけでなく、患者さんの安全や安楽が脅かされ重篤な状態になります。
千葉大学医学部附属病院では、主治医、精神科医、看護師、薬剤師、作業療法士等がスクリーニングや危険因子の除去等の予防的アプローチと早期介入を実施しています。また継続的な評価で、せん妄発生率低下や重症化予防を実現しています。そして有害事象の発生防止や入院期間の短縮という効果もあります。
4-4. 外来化学療法におけるチーム医療/岐阜大学医学部附属病院
抗がん剤治療を通院で受ける患者さんは、副作用の早期発見は困難です。また副作用発現時の迅速な対応ができないことが問題になります。このため、来院時に患者さんに起こりうる副作用内容、対処法を確実に伝えるとともに、継続治療を行っている患者に対しては副作用対策を実施する必要があります。
岐阜大学医学部附属病院では、外来がん化学療法室にて薬剤師が医師、看護師と連携をとりながら、患者への治療内容の説明とともに副作用に関して指導を行います。同時に、がん治療における安全性を確保しています。
5. まとめ
チーム医療における薬剤師の役割は、大きく2つの分野があります。
まず一つ目は、お薬に関する業務です。具体的には、「医薬品の調製」「供給管理」「品質管理」などになります。
二つ目は、患者さん志向の薬の情報を臨床応用する業務です。具体的には、「薬学的な患者ケア」「[薬物療法の問題点の把握と薬学的提案」「医師との協働:処方提案、処方設計支援」です。
日本学術会議では、チーム医療における専門薬剤師業務への提言として、以下のようなポイントを挙げています。
① 専門領域のハイリスク医薬品の適正使用・ハイリスク患者の重点管理を推進する
② 臨床検査・薬物血中濃度測定のオーダーを、医師に代わって行い、必要な対応を提案する
③ 副作用の重篤化回避や治療に難渋する患者への対応について、処方の提案や処方設計を分担する
④ 高度な医療判断に備えて医薬品情報を収集し、評価・活用する
時代の流れとして、こういった対物から対人への業務シフトは推進されていくでしょう。その中でも質の高い医療が求められるチーム医療における薬剤師の役割は、より専門化・高度化していくと思われます。