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薬剤師とは?薬剤師国家試験や仕事内容など幅広く解説します

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剤師は、薬の専門家であり、スペシャリストです。薬の調剤や服薬指導などを通じて、患者さんの健康に貢献する職業です。薬剤師になるためには、国家試験を受験し、合格する必要があります。

薬剤師が働く場所は、薬局や病院だけでなく、ドラッグストアーや製薬会社、大学など多岐に渡ります。また働く場所によって、担当する仕事内容も異なります。

本記事では、これから薬剤師を目指す方に向けて、ポイントを詳しく解説します。

 

1. 薬剤師とは

薬剤師とは

まず最初に、ここでは薬剤師に関する現状について、データを中心に見ていきましょう。

1-1. 薬の専門家の薬剤師

薬剤師(英:Pharmacist、Chemist)は、薬の専門家です。例えば、薬の調剤や医薬品の供給、服薬指導等などを行います。日本の医療制度においては、医療を行う医師や歯科医師と薬のスペシャリストである薬剤師は、分離独立させた資格制度になっています。

現在日本には57,000の薬局がありますが、門前薬局が多く、医薬分業のメリットを患者さんが実感しにくいという課題がありました。そこで2016年4月の診療報酬改定で、「かかりつけ薬剤師制度」がスタートしました。これは患者さんに指名して頂き、同じ薬剤師が担当する制度です。そうすることで患者さんの服薬情報を一元化でき、また多剤・重複投薬や残薬などを解消することができます。

このように、薬剤師は地域の高齢者の健康に対する重要な役割が求められています。

1-2. 数字で見る薬剤師

1-2-1. 全国の薬剤師数と男女比

2020年の厚生労働省の資料によると、令和2年(2020年)時点の薬剤師の登録者数は、32万1,982人です。また男性は12万4,242人(38.6%)、女性は19万7,740人(61.4%)です。ちなみに人口10万人あたりの薬剤師の数は、255.2人です。

1-2-2. 働く場所別の薬剤師の数

薬剤師の勤務先は、薬局だけではありません。例えば、病院やドラッグストアー、製薬会社、診療所など多岐に渡ります。ここでは、薬剤師が従事している施設別の人数とシェア、平均年齢を以下に記します。

働く場所 人数 割合 平均年齢
薬局 188,982人 58.7% 46.8歳
 病院  55,948人 17.4% 41.6歳
 医薬品関係企業 39,044人 12% 48歳
衛生行政機関 6,776人 2% 42.4歳
 診療所 5,655人 1.8% 58.1歳
大学 5,111人 1.6% 47.2歳

※令和2年(2020年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況より

また近年は、薬局で働く薬剤師の数が増加しています。

薬局で働く薬剤師

※令和2年(2020年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況より

1-2-3. 薬剤師の年齢別人数

ここでは、年齢別の薬剤師の数をご紹介します。薬剤師の年齢別人数は、「30~39歳」が最も多く、82,378人(25.6%)です。二番目に多いのが「40~49歳」で、73,305人(22.8%)です。また薬剤師の平均年齢は、46.6歳です。

年齢 総数 割合
29歳以下 39,980人 12.4%
 30~39歳 82,378人 25.6%
 40~49歳 73,305人 22.8%
50~59歳 63,575人 19.7%
 60~69歳 44,162人 13.7%
70歳以上 18,582人 5.8%

※令和2年(2020年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況より

1-3. 研修認定薬剤師の認定者名簿

1-3-1. 研修認定薬剤師制度とは

公益財団法人日本薬剤師研修センターが実施している研修制度です。時代に即応した医療需要と社会的要請に応えるための研修実績の保証の1つです。

1-3-2. 認定薬剤師名簿について

公益財団法人日本薬剤師研修センターのホームページの「研修認定薬剤師の認定者名簿」で確認できます。

 

2. 薬剤師になるには

薬剤師になるには

2-1. 大学を卒業して薬剤師になるには

薬剤師になるには

薬剤師になるには6年制薬剤師養成課程を修了する必要がある

2-1-1. 6年制薬剤師養成課程を修了する必要がある

薬剤師国家試験を受験するためには、高校を卒業して、大学の薬学部で6年制薬剤師養成課程を修了しなければなりません。これは、薬剤師法(※)と学校教育法の改正を受けて、2006年度から薬剤師養成課程の修業年数が4年から6年に延長されたことによります。

※薬剤師法…薬剤師全般職務・資格などに関して規定した法律。薬剤師の任務を「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする(第1条)」と示している。

2-1-2. 一般的な薬剤師になる流れ

高校を卒業後、大学の薬学部(6年制課程)に入学します。そして卒業後に薬剤師国家試験を受験し、合格して国家資格の薬剤師を取得する必要があります。薬剤師国家試験は年に1回、全国主要都市で実施されます。

薬剤師国家試験に合格後、厚生労働省に申請して薬剤師名簿に登録されます。この後に薬剤師免許が与えられます。就職活動は大学6年に行いますが、毎年2~3月に実施される国家試験に合格できない場合、内定が取り消される恐れがありますので注意が必要です。

2-2. 薬剤師合格率の高い大学ランキング

薬剤師国家試験の難易度は高く、しっかり準備する必要があります。例えば新卒者の合格率は、例年80%台です。つまり、約5人に1人が不合格になっていることになります。

薬剤師になる近道は、薬剤師国家試験の合格率の高い大学に入学することです。ここでは、令和6年(2024年)に行われた第109回薬剤師国家試験の6年制新卒者の国家試験合格率トップ10ランキングをご紹介します。

薬剤師を目指せる学校の一覧については、『スタディアプリ進路』で確認することができます。

大学名 受験総数 合格者数 合格率
東京大学  10名 10名 100%
 名城大学  221名 218名 98.64%
 国際医療福祉大学 137名 137名 97.08%
 長崎大学 35名 33名 96.97%
 大坂大学 23名 22名 95.65%
 近畿大学 132名 125名 94.70%
 名古屋市立大学 56名 53名 94.64%
 金沢大学 36名 34名 94.44%
 徳島文理大学 70名 66名 94.29%
横浜薬科大学 154名 144名 93.51%
 愛知学院大学 108名 100名 92.59%

※令和6年3月19日厚生労働省医薬局/「第109回薬剤師国家試験 大学別合格者数」より

 

3. 薬剤師国家試験について

薬剤師国家試験

ここでは、薬剤師になるためには避けて通れない薬剤師国家試験について解説します。概要や各種データ、おさえるべきポイントもご紹介します。『薬剤師国家試験とは?合格率TOP10や気になる過去問題も紹介!』でも詳しく解説していますので、参考にして下さい。

3-1. 薬剤師国家試験の概要

まずここでは、薬剤師国家試験の概要をご紹介します。詳細については、厚生労働省の「薬剤師国家試験のページ」を参照下さい。

項目 内容
試験名 第110回薬剤師国家試験
実施予定日 2025年2月15日(土)、16日(日)
 試験地 北海道、宮城県、東京都、石川県、石川県、愛知県、大阪府、広島県、徳島県、福岡県
必須問題試験 物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務
 一般問題試験 薬学理論問題試験/物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理
一般問題試験 薬物実践問題試験/物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務
受験手続き 受験願書、写真、返信用封筒、6,800円の収入印紙他
お問い合わせ先 薬剤師国家試験運営本部事務所/03-5579-6903

3-2. 第109回薬剤師国家試験の概要

ここでは、令和6年(2024年)2月17日(土)、18日(日)に実施された第109回薬剤師国家試験の概要をご紹介します。

3-2-1. 受験者数は13,585人、合格者数は9,269人

第109回薬剤師国家試験の出願者数は15,118人、受験者数は13,585人、新卒者の合格者数は7,100人でした。また合格点(ボーダー)は210点で、合格率は84.36%でした。

この第109回薬剤師国家試験の合格発表については、2024年3月19日に厚生労働省のサイトで「受験地」と「受験番号」が掲載されました。発表された受験番号の合格者には、合格証書(ハガキ)が郵送されます。その後、住所地の最寄り地の保健所(一部は県庁)に薬剤師免許申請を行う必要があります。申請後約2ヶ月で厚生労働省の薬剤師名簿に登録され、手元に免許証が届きます。詳細については、「薬剤師免許の申請手続き等について」を参照下さい。

3-2-2. 薬剤師国家試験の合格点・合格率の推移

ここでは、過去6年の薬剤師国家試験の合格点推移をご紹介します。薬剤師国家試験の合格点は、平均点と標準偏差を用いた相対基準により設定されています。

試験年 合格点 合格率
第109回(2024年) 210点 68.4%
第108回(2023年) 235点 69.0%
 第107回(2022年) 217点 68.0% 
第106回(2021年) 215点 68.7% 
 第105回(2020年) 213点 69.6% 
第104回(2019年) 225点 70.91% 

3-3. 薬剤師国家試験合格発表について

第109回薬剤師国家試験の合格発表については、厚生労働省のホームページで発表されました。こちらでは参考資料として、「第109回薬剤師国家試験 都道府県別合格者数」や「第109回薬剤師国家試験 大学別合格者数」も掲載されています。

3-4. 薬剤師国家試験のおススメの勉強方法

医療系の国家試験の近年の合格率は、医師国家試験や看護師国家試験は90%前後になっています。また介護福祉国家試験は70%、理学療法士国家試験は80%前後なので、70%前後の薬剤師国家試験の難易度は高いといえるでしょう。そのため、入念な事前準備が必要です。ここでは、そんな薬剤師国家試験の勉強方法についての効果的な手法をご紹介します。

3-3-1. 慶應医学部卒の米国内科専門医が教える最高の勉強法・効率的な覚え方

この『最高の勉強法・効率的な覚え方【科学的根拠のある効果的な学習方法について医者が解説】』は、ポイントが明確です。繰り返し、アウトプットすることの重要性を教えてくれます。具体的には、「アクティブリコール」や「間隔反復」、「分散学習」、「連続的再学習」などがあります。慶應義塾大学医学部卒の安川康介氏は米国内科専門医で、「最高の勉強法」は書籍化されたそうです。

3-3-2. 東大医学部卒が教える効率の良い勉強法とは

河野玄斗氏は東大医学部を卒業しただけでなく、医師国家試験・司法試験・公認会計士を全て制覇しています。そんな彼がポイントを教えてくれるのが、この『【河野玄斗】効率のいい勉強法は、結局〇〇に尽きます。最強の勉強法【勉強】』です。問題集から進んで解答手順で手を動かし、教科書を攻略本として習得する方法を伝授してくれます。

3-3-3. 何時間勉強したの?どんな勉強した?新卒薬剤師が質問に答える

実際の新卒薬剤師のまい丼さんが勉強のポイントを教えてくれるのが、この『【薬剤師国家試験✏️】何時間勉強したの?どんな勉強した?新卒薬剤師が質問に答えるよーー!』です。国試の受験勉強で大切なのは「量より質」で、睡眠時間は必ず確保するのが大切です。

 

4. 薬剤師の仕事内容について

薬剤師の仕事内容

薬剤師は、患者さんの健康をサポートする薬の専門家です。医療用薬品から一般用医薬品までの幅広い知識を持ち、薬調剤や服薬指導、薬歴管理など、仕事内容は広範囲に及びます。ここでは、薬剤師の具体的な仕事内容を解説します。

4-1. 調剤・監査

薬剤師の仕事内容 調剤・監査

調剤とは、医師が出した処方箋に基づいて薬剤師が薬を調合することです。例えば複数の医薬品を混合したり、錠剤の粉砕作業を行います。また患者さんが服用する1回分の薬だけを分包したり、処方箋が患者さんに合うのか、また他の薬との飲み合わせは問題ないかも同時に確認します。この医師と薬剤師の役割分担のことを、「医薬分業」といいます。

また調剤したお薬を患者さんに渡す時には、別の薬剤師が確認する「監査」も行われます。このように、薬剤師は薬の専門家として安全な運用で患者さんの健康に貢献しています。

4-2. 服薬指導

薬剤師 仕事内容

1日10件のオンライン診療を上手に行っている解説動画

患者さんは、薬物治療に対する様々な不安を抱えています。例えば、服薬の時間や回数、量、お薬の保管方法などです。またすでに飲んでいる別の薬との飲み合わせなどもあります。服薬指導は、薬剤師がそういった不安を取り除き、検査数値をもとに患者さんが安全に薬物治療を受けられるようにサポートします。

服薬指導は、一般用医薬品に対しても行われます。一般用医薬品の中でも医療用医薬品からスイッチされた第1類医薬品に分類される医薬品は、薬剤師の説明が義務付けられています。お薬は正しく使われてこそ、有効なものになります。そのためには、服薬指導はとても大切です。『オンライン服薬指導とは?ニコムスやクリニクスも活用しましょう』でも解説していますので、参考にして下さい。

4-3. 薬歴管理

薬剤師仕事内容 薬歴管理

薬歴管理は、患者さんの基礎情報や服薬情報、処方や調剤情報、疾患情報、担当薬剤師情報などを薬剤服用歴(薬歴)として残すことです。例えば患者さんがいつ、どんな薬剤をどれくらい処方されたのか、どれ位の期間服用されたのかというものです。またお薬の服薬によってアレルギーや副作用などの反応が現れた場合、管理記録簿に記録します。

こういった薬の効果だけでなく、患者さんからの要望や希望も全て記録します。例えば「粉薬ではなくカプセルに変えたい」といった患者さんの声も記録します。その内容によっては、担当医師に情報を伝え、改善につなげていきます。これらの薬歴は、調剤診療報酬の根拠になる重要な記録になり、一定期間保管する義務があります。

4-4. 疑義照会

薬剤師仕事内容 疑義照会

疑義照会(ギギショウカイ)とは、薬剤師が処方箋の内容について、発行した医師に問い合わせることです。薬剤師は、薬に関する知識や経験を活用し、患者さんの服用歴も参考にし、健康上のリスクを未然に防ぐ役割を担っています。

例えば薬剤師法第24条では、「処方せん中に疑わしい点(疑義)がある場合は、発行した医師等に問い合わせて確かめること (照会)ができるまで調剤してはならない」と定められています。そこで具体的には、薬剤名や処方箋、副作用、薬物アレルギー、用量・用法、飲み合わせなどをチェックします。

4-5. 医薬品の販売・管理

薬剤師仕事内容 医薬品の販売・管理

薬剤師は、医薬品の販売や管理も行います。例えば医薬品の販売では、処方箋が必要な医療用医薬品だけでなく、処方箋がなくても購入できる市販薬も扱います。市販薬(OTC医薬品)の中でも要指導医薬品や第1類医薬品は、薬局やドラッグストアで薬剤師が不在だと販売することはできません。

また医薬品の管理においては、品質の劣化を防止するため、適切な環境下で保管します。また不正使用されることのないように、使用数量と在庫数量のチェックもいます。特に医療用麻薬や向精神薬、毒薬、劇薬は、厳重に管理します。

 

5. 勤務先別の薬剤師の仕事内容について

勤務先別 薬剤師仕事内容

薬剤師の仕事の項目については、前章で解説しました。しかし、薬剤師の仕事現場は薬局や病院、ドラッグストアー、診療所など多岐に渡ります。当然、それぞれの勤務先によって仕事内容も変わってきます。ここでは、勤務先別の仕事内容を詳しく解説します。

5-1. 薬局薬剤師の仕事内容

5-1-1. 薬局で求められる業務

薬剤師の約6割が働く薬局では、主に医師が発行した処方箋に基づき、薬の調剤や服薬指導、薬歴管理を行います。また保険調剤以外にも、市販薬の販売や、薬や健康に関する相談にも対応します。

5-1-2. 門前薬局の特徴

多くの調剤薬局は、門前薬局です。門前薬局とは、病院やクリニックのそばにあり、近くの医療機関からの処方箋に基づき、薬の調剤や販売を行います。そのため、近隣の病院やクリニックが専門としている診療科を対象とした薬に偏りがちという傾向があります。一方、近年増加している調剤併設型ドラッグストアは、取り扱う薬の種類が多く、調剤を待つ時間に買い物もできます。

5-1-3. 地域に根付いた薬局に変わるために

薬局薬剤師

『調剤事務って何しているの?1日に密着!!』では一日の流れがわかりやすく解説されている

そのため門前薬局が生き残るためには、地域に根付いた薬局を目指す必要があります。2021年には、調剤薬局に「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」がスタートしました。地域連携薬局とは医療や介護の施設と連携し、患者さんを支える薬局のことです。

地域連携薬局には、かかりつけ薬剤師や薬局機能、健康サポート機能が求められます。そしてその認定要件は、①構造設備、②他医療提供施設との情報連携体制、③地域における薬剤の安定供給体制、④在宅医療体制の4つがあります。かかりつけ薬剤師については、『かかりつけ薬剤師とは?メリットやその役割を詳しく解説します』で詳しく解説しています。

また専門医療機関連携薬局には、より高度な薬学管理や高い専門性が求められる特殊な調剤に対応できる薬局です。例えば、がん治療に対する高い専門性を持った薬局がこの認定を受けています。

5-2. 病院薬剤師の仕事内容

薬剤師の17.4%が働いているのが、病院です。病院薬剤師と呼ばれ、薬局薬剤師とは求められるものも異なります。ここでは、そのポイントを解説します。

5-2-1. 病棟薬剤業務

病院薬剤師

【病院薬剤師の1日】では仕事内容がわかりやすく紹介されている

医師や看護師など、他の職種と連携するのが病棟薬剤業務です。例えば患者さんの入院時に、薬の内服状況や市販薬の使用状況、過去の副作用歴やアレルギー歴を把握します。また薬を使用する前に、年齢や体格、腎臓や肝臓の機能、疾患や症状を把握します。

入院後の薬剤投与に関しては、患者さん個人に合った投与量を計算し、医師に処方提案をしたり、投与速度や投与ルート、配合の情報を提供します。また入院中に注意が必要な薬は、医師に処方設計や代替え薬の提案を行います。ハイリスクな薬の投与は、投与前に患者さんに説明を行います。

病棟を担当する薬剤師は、カンファレンスや回診に参加し、チーム医療に貢献します。医療分野におけるカンファレンスとは、より良い医療の提供を目的とした様々な会議を指します。

5-2-2. 薬剤管理指導業務

薬剤管理指導業務は、薬歴や処方内容を確認し、薬学的管理を行います。具体的には、薬剤の投与方法や投与量、相互作用や重複投与、配合変化などがあります。また投薬の適正を確認するため、患者さんのベッドサイドに伺い、投薬後の効果や副作用がないか確認します。ハイリスク薬や麻薬等については、患者さんに十分な説明を行います。また医師や看護師とも情報共有します。

5-2-3. ハイリスク薬管理業務

医療事故防止のための安全管理が必要な医薬品が、ハイリスク薬です。特に安全管理な医薬品には、以下が挙げられます。

<安全管理な医薬品例>
① 抗悪性腫瘍剤
② 免疫抑制剤
③ 不整脈用剤
④ 抗てんかん剤
⑤ 血液凝固阻止剤
⑥ ジギタリス製剤他

また薬歴管理以外にも、投与期間中のアビヒアランス(※)、相互作用のモニタリングも行います。

※アビヒアランス…アドヒアランス(英:adherence)とは、固守や執着という意味です。医療の現場では「患者さんが治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受ける」ことを意味します

5-2-4. 治験業務

病院薬剤師の中には、治験コーディネーター(CRC※)として治験のサポートする薬剤師もいます。治験とは、未承認薬の臨床試験のことです。この場合、医師や看護師だけでなく、製薬会社の担当者とやり取りすることもあります。

※治験コーディネーター(英:CRC/Clinical Research Coordinator)…治験がスムーズに行われるように治験参加者をサポートしたり、関係者のスケジュールを調整したりします。仕事内容としては、事前準備と治験業務、そして治験結果報告があります。

5-3. ドラッグストアの薬剤師の仕事内容

ドラッグストア 薬剤師 仕事内容

まるでスーパーのようなドラッグストアの食品コーナー

ドラッグストア業界は、2020年に売上高が7兆2,000億円を超えました。待ち時間の買い物だけでなく、立地戦略や商品マーケティング、ポイント制や宅配など、消費者の利便性の徹底追求で、今後も成長が見込まれています。

ドラッグストアのタイプは、3つあります。OTC店舗(調剤なし)と調剤併設、調剤専門の店舗です。調剤に関わる業務は薬局薬剤師とほぼ同じですので、ここではOTC店舗の薬剤師の仕事を解説します。

5-3-1. OTC医薬品の販売業務

ドラッグストアのOTC店舗では、要指導医薬品、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品が販売されています。この中で、要指導医薬品と第1類医薬品は薬剤師がいないと販売することはできません。薬剤師は患者さんの現在の病状や体質、飲み合わせをヒアリングし、適切なOTC医薬品を選んで販売します。

<ドラッグストアで販売されている医薬品例>
① 要指導医薬品…医療用医薬品から市販薬に転用されたばかりの薬
② 第1類医薬品…一般用医薬品(OTC医薬品)の中で最も副作用が生じる恐れが高い医薬品
③ 第2類医薬品…副作用等のリスクが中程度の医薬品
④ 第3類医薬品…副作用等のリスクが比較的低い医薬品

5-3-2. 健康相談

OTC医薬品の販売だけでなく、患者さんや来店顧客の健康相談もドラッグストアに勤務する薬剤師の大事な業務です。近年は、「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」というセルフメディケーションが注目されています。例えば病院やクリニックで受診する前に、OTC医薬品やサプリメントを活用して回復を目指す方が増えています。

そういったニーズに対応するため、ドラッグストア薬剤師は相談を受けた後に患者さんの悩みや症状を聞き、適切な医薬品やサプリメント、健康食品等を提案します。また必要な場合は、医療機関の受診を勧めることもあります。

5-3-3. レジ打ち・品出し・陳列・在庫管理

勤務する店舗や企業の方針によって異なりますが、ドラッグストア薬剤師は店舗のオペレーションも担当することがあります。具体的には、レジ打ちや商品の品出し、陳列や在庫管理などです。また特売品の設置の工夫やPOP作成など、集客や販売効率に関わることもあります。

 

6. 薬剤師検索について

薬剤師検索システム

6-1. 薬剤師資格検索システムとは

厚生労働省に現在登録されている薬剤師を調べることができるのが、薬剤師資格確認検索システムです。例えば漢字等の指名を入力することで、登録薬剤師を検索できます。検索結果の情報としては、以下があります。

<検索情報>
① 氏名
② 性別
③ 薬剤師の登録年
④ 該当者の場合は行政処分の種類と期間

6-2. 薬剤師資格検索システムの背景

2006年に、薬剤師法が改正されました。そこでは、2008年4月1日から薬剤師氏名等を公表することが公表されました。その目的は、薬剤師の情報を開示することで、薬剤師ではない人物から調剤を受け取ることを防ぐことです。国民の生命と健康を保護するという観点から、一般の人が薬剤師の資格確認ができるようになりました。

 

7. 薬剤師の年収について

薬剤師 年収

ここでは、薬剤師の年収について解説します。『薬剤師の年収とは?気になる年収がアップするエリアはどこ?』でも解説していますので、そちらも参考にして下さい。

7-1. 薬剤師の年収の平均

厚生労働省が発表している『令和3年度賃金構造基本統計調査』によれば、薬剤師の年収の平均は580.5万円です。この内訳は、月収が40.4万円、賞与は96.2万円です。以下に、過去5年間の推移を記します。

月収 賞与 年収
2021年  40.4万円 96.2万円 580.5万円
 2020年  39.4万円 92.1万円 565.1万円
2019年 39.9万円 83.3万円 561.7万円
2018年 38.0万円 87.7万円 543.6万円
 2017年 38.8万円 77.9万円 543.8万円

7-2. 薬剤師の年収のリアル

ここでは、薬剤師の年収のリアルな数字をご紹介します。厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和3年)」によれば、男女・年齢別の年収は以下のようになっています。例えば多くの年代で、女性の方が数十万〜100万円程度少ない傾向が見られます。

年齢 男性 女性
 20~24歳 約405.4万円 約347.6万円 
 25~29歳 約455.3万円 約422.9万円 
30~34歳 約548.2万円 約461.7万円 
35~39歳 約598.1万円 約559.9万円 
40~44歳 約639.3万円 約526.1万円 
45~49歳 約671.4万円 約546.5万円 
50~54歳 約723.7万円 約611.7万円 
55~59歳 約714.9万円 約591.5万円 
60~64歳 約608.3万円 約550.5万円 

 

8. まとめ

薬剤師は、薬の専門家であり、薬を通じて人々の健康に貢献しています。

薬剤師になるためには、薬剤師国家試験を受験し、合格する必要があります。例年の合格率は70%前後ですので、しっかりとした準備が必要です。万が一不合格になった場合、大学6年生時の就活で得た内定が取り消される恐れがあるので、注意が必要です。

また薬剤師の仕事内容は、調剤薬局や病院、ドラッグストアーや製薬会社等多岐に渡り、それぞれ業務内容は異なります。ご自身の将来イメージを見据えた上で、進路を決めることが大切です。

薬剤師の資格は、一生ものといわれます。女性の場合、結婚・出産・子育ての後に復職しやすいというのは、大きな魅力です。

近年は高齢化社会の到来とともに、かかりつけ薬剤師や在宅医療の推進、ジェネリック医薬品の活用など、その働き方も変化していきています。

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