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腎癌診療ガイドラインとは?役立つがん予防のヒントも満載!

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腎癌診療ガイドライン

腎癌診療ガイドラインとは、日本泌尿器科学会が作成したガイドラインです。複雑化する腎癌診療において、腎癌診療ガイドラインは適切な診療指針を与える手引書になっています。

例えば、クリニカルクエスチョンが充実しており、理解しやすくなっています。また各分野ごとに総論が提示されており、「病理」と「フォローアップ」が独立した分野として取り上げられています。

本記事では、腎癌診療ガイドラインの重要ポイントをご紹介します。

 

1. 腎癌の危険因子と予防について

腎癌診療ガイドライン 腎癌の危険因子と予防

1-1. 総論

1-1-1. 生活習慣と環境因子について

赤身肉の摂取量が多いほど、腎癌を発症しやすいとされています。しかし、この傾向は女性に限定されるという報告もあります。肥満や高血圧といった生活習慣病は、腎癌のリスクの傾向がみられます。

またナトリウム摂取の過多は、高血圧の発症を介して発癌リスクが上がると推測されています。ナトリウムは食塩や醤油などの調味料のほかに、ハムやベーコン、漬物、食品添加物などに多く含まれています。

飲酒については、飲まない人より、腎癌リスクは低下します。職業的には大規模な症例対照研究が米国で実施され、有機溶媒を用いる従事者の腎癌発症率が高かったことが報告されています。

1-1-2. 遺伝分子について

von Hippel-Lindau(VHL)遺伝子の胚細胞変異が有名です。本邦の疫学調査研究では、VHL病患者409例中206例(50.3%)に腎癌が発症しました。また診断時の年齢の中央値は35歳でした。そういった背景から、遺伝子カウンセリングを含め15歳からの画像スクリーニングが推奨されています。FLCN遺伝子の変異が原因とされるBirt-Hogg-Dube(BHD)症候群の2016年の本邦例の集計では、312例中60例(19.2%)に腎腫瘍性病変が認められました。

 

2. 腎癌の早期発見のための検査について

腎癌診療ガイドライン

CT検査

2-1. 腹部超音波検査が効果的です

健康診断等の検査で、患部超音波検査やCT検査で偶然発見されることがあります。そのため、腎癌のスクリーニング法として、腹部超音波検査が汎用されています。

Miharaらの報告では、健康診断で腹部超音波検査を受けた219,640例のうち723例(0.33%)に悪性腫瘍が発見され、192例(0.09%)が腎癌でした。一般に健康診断における腎癌の発見率は0.04~0.1%です。他の悪性腫瘍と比較すると、腎癌は健康診断で発見される頻度は高いです。また偶発腎癌における限局性腎癌の割合は、74.6%です。これは、症候性腎癌における35.8%に比べて非常に高いです。

一方、腹部超音波検査で腎腫瘤性病変が疑われた場合、確定診断にはCT検査が効果的です。特に3cm以下の小径腎腫瘍の描出に関しては、腹部超音波検査よりもCT検査が優れています。

腎血管筋脂肪腫と腎癌の鑑別には、腹部超音波検査だけでは不十分です。スクリーニングとしては、「検出率」と「費用対効果」の観点から腹部超音波検査を先に行い、確定診断としてはCT検査が推奨されます。

 

3. 診断について

腎癌診療ガイドライン 腎癌 診断

3-1. 総論

近年、画像診断技術の進歩や人間ドック等スクリーニングの機会の増加とともに、腎腫瘍の発見頻度が増加しています。多くの臨床の場において、腎機能が正常である限り、造影CTが最も精度が高いことは明白です。また、腎機能障害や造影剤過敏症のため造影CTが撮像できない場合、MRIを用いて診断することは広く周知されています。

一方、小径腎腫瘍(腎血管筋脂肪腫等)では、腫瘍生検を行う試みが広まっています。また進行性・転移性癌でも治療法選択に病理組織型が反映されることもあり、腫瘍生検が行われる機会が増加しています。

3-2. 透析患者における腎癌のスクリーニングとは

透析患者は、通常よりも腎癌発生率が高いです。そのため、スクリーニングによる早期発見や治療による改善が期待できる可能性が高いです。例えば、透析患者は健常人に比べ悪性腫瘍発生率が高いです。欧米の報告では、その頻度は約1.4倍です。

その中でも腎癌の発生頻度は、他の癌種に比べて高いのです。Stewartらは、オセアニアの23,764例の透析患者を検討しました。その結果、健常人との標準化発生比(standardized incidence ratio;SIR)は、5.4(95%CI:4.3〜6.7)と報告しています。また米国の482,510例の透析患者の検討では、腎/腎盂癌のSIRを4.03(95%CI:3.88〜4.19)と報告しています。

 

4. 外科療法・局所療法について

腎癌診療ガイドライン 外科療法・局所療法

4-1. 総論

4-1-1. 原発巣に対する外科療法・局所療法

腎癌に対しては、従来根治的腎摘除術が標準術式として位置付けられてきました。しかし近年画像診断技術の向上等により、小径腎腫瘍が多く発見されるようになり、腎部分切除術が施行されることが多くなってきました。また腎部分切除術は、開放手術あるいは腹腔鏡手術で行われてきました。しかし最近では、ロボット支援腎部分切除術も施行されるようになり,2016年4月に保険収載されました。

一方、腎摘除術も多くの患者さんに腹腔鏡手術が選択されています。これは腫瘍径が大きい場合、静脈内腫瘍進展例、リンパ節転移例等では開放手術が選択されています。また、小径腎腫瘍に対しては低侵襲治療としてRFAや凍結療法が施行されてきました。そして2011年、凍結療法が保険収載されました。

4-1-2. 根治的腎摘除術

T1a/T1b症例でも、腎部分切除術が困難な場合には、腎摘除術の適応となります。このような患者さんは、多くの場合腹腔鏡手術が選択され、現在では標準術式となっています。開放手術に比べて制癌性は同じで、低侵襲で術後の回復が早いとされています。

到達法としては、後腹膜到達法、経腹膜到達法があります。そして、腫瘍の部位、大きさ、腹部手術の既往等に基づいて選択します。腫瘍が大きい場合は、後腹膜到達法では部位によって腫瘍を圧迫する可能性があります。多くは、経腹膜到達法を選択します。一方、経腹膜到達法では腹腔内臓器損傷の危険性を考慮する必要があります。

4-2. 腎摘除術において腹腔鏡手術は推奨される?

現在、腎癌に対する腎摘除術においては、腹腔鏡手術が広く行われるようになっています。MacLennanらは、外科療法を施行されたStageⅠ、Ⅱの腎癌におけるメタアナリシスにおいて、腹腔鏡手術と開放手術を施行された患者を比較しました。その結果、「非再発率」「癌特異的生存率」「全生存率」に差がないことから、両者に同等の制癌効果が期待できるとしています。

そして腹腔鏡手術では開放手術に比較して手術時間が長いものの、「出血量」「鎮痛薬使用量」「入院期間」「術後回復」において、開放手術よりも優れていることを報告しています。

またBergerらは、腹腔鏡下根治的腎摘除術を経た10年以上経過観察した73例について報告しています。そして10年、12年の癌特異的生存率を、それぞれ92%、78%と報告しています。

 

5. 全身治療について

腎癌診療ガイドライン 全身治療

5-1. 総論

腎癌の薬物療法は、1980年代から開始された「サイトカイン療法」が長らく一般的でした。しかし、当初その根拠となるエビデンスはレベルの低いものでした。

インターフェロン(IFN)-αに関しては、2つの無作為化比較試験(randomized controlled trial;RCT)により、女性ホルモン療法あるいはビンブラスチンと比較して全生存期間の延長効果が認められ、改めて標準治療とみなされました。その奏効率は、15%前後でした。

2008年に使用可能となった「血管新生阻害薬ソラフェニブ」は、当初サイトカイン無効例に対して使用され、臨床的有用性が示されました。しかし一次治療としての有用性は、IFN-αとの比較で明らかではありませんでした。

一方、一次治療でスニチニブはIFN-αとのRCTにより無増悪生存期間の延長が認められました。その結果、新しい標準治療薬として認められました。また、ソラ
フェニブ、スニチニブ及びその両剤での治療後の患者に対してプラセボを対照としたRCTが行われました。その結果、エベロリムスが血管新生阻害薬治療後の標準治療となりました。

 

6. 腎癌診療ガイドラインのまとめ

腎癌診療ガイドラインは、治療の発達のための貴重なノウハウが満載の第一級の資料です。また学術的なエビデンスも豊富に掲載されており、科学の進歩を実感できる内容です。

がんは毎年多くの方が亡くなる病気であり、日本人にとって非常に身近な病気です。がんに対しては、チーム医療による患者さんの治療とケアが推進されています。

また腎癌診療ガイドラインは腎癌がテーマですが、他のがんに活きる対処法もあります。

本サイトでは、今後もこういった薬剤師に役立つ情報を積極的に掲載していく予定です。

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