薬局経営

薬局経営は、高齢化や医療費の増加、IT技術の進化などを背景に、大きな変革期を迎えています。政府の方針と意図を把握し、かつユーザーニーズの応える努力が求められています。

1. 調剤報酬の見直しと機能分化

薬局経営に影響がある調剤報酬の見直し

調剤報酬制度は、近年見直されています。例えば「調剤をするだけ」ではなく、服薬指導に代表される付加価値サービスが評価されています。象徴的なのは、薬局の機能分化です。「対物業務」から「対人業務」への変換が求められています。

今後の薬局経営は、単純な処方箋調剤だけに依存しない新たな収益構造への転換が重要です。

2. かかりつけ薬局の重要性

患者さんに服薬指導する薬剤師

国が推進する地域包括ケアシステムの中では、かかりつけ薬局の役割が今後さらに重要になります。これは、患者さんが日常的に気軽に相談できる信頼性を確立するものです。例えば服薬指導だけではなく、在宅訪問や薬歴管理、服薬情報の一元管理などがあります。

将来的に薬局は、「医療機関の窓口」として、地域の健康を支える拠点になることが期待されています。つまり人々が、住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けられるようにするものです。そのために、「医療」「介護」「予防」「生活支援」を総合的に提供する機能が求められています。

3. 薬剤師採用と人材確保

薬剤師採用

全国的に薬剤師の需給バランスが変化しています。その特徴は、都市圏では供給過多で、地方で人材不足が続いていることです。またこれからの薬局経営を支える薬剤師には、対人業務に強く、在宅医療に対応できるスキルが求められます。そういった薬剤師を採用するためには、ワークライフバランスを考慮した働きやすい職場環境の整備が必要です。同時に、研修などの教育体制の強化や、キャリアパスの明確化も大切です。

4. DXの推進

薬局DXの推進

薬局のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が加速しています。例えば「電子処方箋の導入」「お薬手帳の電子化」を実現している薬局も少なくありません。電子処方箋を導入すると処方箋の原本を送付せずに服薬指導ができ、かつスムーズな薬の受け取りができます。またレセプトコンピュータで受け付けた電子処方箋や薬歴をタブレットと連携することで、業務を効率化できます。タブレットを見ながらピッキングができると、待ち時間の短縮と印刷コストを削減できます。このように薬局のDX推進は、薬剤師の働きやすさに大きく貢献できます。