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薬剤師の年収とは?気になる年収がアップするエリアはどこ?

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薬剤師 年収

薬剤師の年収は、全国平均は580.5万円です。薬局業界は、ドラッグストアの台頭、電子処方箋の普及、ジェネリック医薬品不足など、環境が刻一刻と変化してます。

ご本人のスキルや年齢だけでなく、「どこで働くか」という職場も重要です。つまり「どんな薬剤師を目指したいのか」「どんな薬剤師が求められているのか」という視点も大切なのです。

本記事では、薬剤師の年収に関する情報をお届けします。

 

1. 薬剤師の仕事内容とは

ここではまず、薬剤師の基本的な仕事内容について解説します。

1-1. 処方監査・疑義照会

医師から処方箋を受け取った後、その内容に誤りがないかを監査します。疑問点がある場合は、医師に問い合わせます。疑問点が解決しない場合、薬剤師は調剤をしてはいけません。

この疑義照会は薬剤師しかできず、医療事故を防ぐ重要な役割を果たしています。これは、薬剤師法第24条に以下のように定められています。

◆薬剤師法第24条
薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによって調剤してはならない。

過去に「薬の重複投与」や「医師による処方箋の複写ミス」「医師の知識不足」等が原因によるミスが発生しています。PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による「疑義照会に関する事例」には過去の事例が豊富に掲載されており、参考になります。

1-2. 調剤・調剤監査

次に、処方箋に従って内服薬や外用薬、注射薬など各種のお薬を調剤します。複数の医薬品を混合したり、錠剤の粉砕作業などを行います。また患者さんが一回で服用する適量分の薬を分包したりし、服用しやすい加工も行います。

調製が間違っていないかの確認を行うのが、調剤監査です。近年は、薬剤師の調剤監査負担を軽減する「薬剤監査支援システム」の導入も増加しています。ただし、最後はやはり薬剤師のチェックが重要です。

1-3. 服薬指導

服薬指導とは、お薬をお渡しする時に、薬の正しい使用法もお伝えすることです。患者さんが正しくかつ適切な服薬をすることで、薬物治療を成功させるために大切なものです。薬の「服用時間」や「服用回数」「服用量」だけでなく、「飲み合わせ」「副作用」「保管方法」も伝えます。また服薬指導は、一般用医薬品でも行われます。

2019年には、オンラインによる服薬指導がスタートしました。そのことによって対面指導の義務がなくなり、医師の診療から処方箋受け取りまでを自宅で完結できるようになりました。オンラインによる服薬指導は、離島や僻地に住んでいる方でも気軽に利用でき、同時に薬局スタッフの負担軽減というメリットがあります。

1-4. 薬歴の管理

薬歴とは、「薬剤服用歴」の略です。これには、「調剤」「服薬指導」「患者の基礎情報」「体質」「疾患」「疑義照会内容・結果」「担当薬剤師氏名」などが記録されています。

薬歴は調剤診療報酬の根拠にもなる重要な記録で、一定期間保管する義務があります。

1-5. 医薬品管理

医薬品を適正な環境下で保管したり、使用量と在庫量が一致することを確認するのが、医薬品管理です。医療機関における医薬品管理の保管場所は、「薬剤部」「病棟」「手術室」「輸血部」があります。管理内容としては、「数量」「期限」「温度」「遮光」などがあります。

また「向精神薬」「覚せい剤原料」「毒薬」「劇薬」などの医薬品に関しては、特に厳格に管理します。過去に「睡眠剤の不正入手」や、「混入事件後の睡眠薬の廃棄」といった事件も発生しています。

1-6. 医薬品の販売

処方箋が必要な医療用薬品だけでなく、市販薬の中の「要指導医薬品」や「第1類医薬品」は、薬局やドラッグストアに薬剤師がいない場合は販売できません。

2. 薬剤師の勤務先について

薬剤師の勤務先

厚生労働省の資料によると、薬剤師の勤務先で一番多いのは薬局で58.7%です。次に病院で17.4%、製薬会社8.5%と続きます。この3箇所で、全体の85%を占めています。

その他には、診療所や医薬品店舗販売、医薬品卸、医薬品設置販売、衛生行政機関などがあります。

 

3. 薬剤師の年収とは

ここでは、薬剤師の年収をいろんな切り口で解説します。

3-1. 男女別の薬剤師の平均年収

性別 年収 平均年齢
全国平均(男女計) 580.5万円 41.1歳
男性薬剤師 630.3万円 41.2歳
女性薬剤師 545.3万円 41.0歳

※厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より

薬剤師全体の平均年収は、41.4歳で580.5万円です。また男性の薬剤師と女性の薬剤師の年収を比べた場合、男性薬剤師の方が約85万円高くなっています。これは、女性薬剤師の出産・産休・復職後の時間勤務といったライフプランが影響していると推測されます。

3-2. 年代別の薬剤師の平均年収

年齢層 平均年収 平均年齢
20~24歳 378.4万円 24.5歳
25~29歳 473.3万円 27.4歳
30~34歳 547.0万円 32.5歳
35~39歳 613.6万円 37.8歳
40~44歳 640.7万円 42.6歳
45~49歳 635.4万円 47.4歳
50~54歳 683.2万円 52.2歳
55~59歳 642.2万円 57.4歳
全世代平均 580.5万円 41.1歳

※厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より

薬剤師の年代別の年収では、最も高いのは50~54歳で682.2万円でした。この年齢のキャリアステージとしては、男性の場合は一般薬剤師から昇進する場合が多いようです。また女性薬剤師も子育てが落ち着き、仕事に専念できることで年収が上がる傾向があります。

3-3. 都道府県別の薬剤師の平均年代ランキング

順位 都道府県 平均年収
1位 山口県 667.1万円
2位 香川県 652.9万円
3位 茨城県 649.2万円
4位 滋賀県 639.6万円
5位 石川県 638.2万円
※参考 全国平均 580.5万円

※厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より

全国の都道府県別の薬剤師の年収を比較した場合、1位は山口県で667.1万円でした。この数字は、全国平均の年収を86.6万円上回っています。ちなみに大都市圏の場合は、東京都が20位、大阪府は37位、愛知県が11位になっています。

薬剤師の年収は、大都市の郊外が高くなる傾向があります。この理由としては、「人口に対する薬剤師の比率」という需給のバランスがあります。そのため年収をアップさせる場合、職場エリアは大きな要素になります。

3-4. 業種別の薬剤師の平均年収ランキング

順位 業種 平均年収
1位 製薬会社 543.2万円
2位 ドラッグストア 512.5万円
3位 調剤薬局 488.3万円
4位 病院薬剤師 434.6万円

※厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」より

業種別の薬剤師の年収を比較すると、1位は製薬会社の薬剤師が543.2万円です。ちなみに国内の製薬会社のランキングは、「武田薬品工業」「大塚ホールディングス株式会社」「アステラス製薬株式会社」が上位3社です。

2位はドラッグストアで512.5万円、3位は調剤薬局で488.3万円です。現在ドラッグストアは調剤室併設型の出店が増加しており、採用競争の激化といった背景が年収増に影響していると思われます。

 

4. まとめ

薬剤師の年収について、様々な切り口で見てきました。

仕事には専門性や組織風土、人間関係など、様々な要素があります。当然年収だけで職場を選ぶことはできませんが、重要な要素であるのも事実です。

特に企業も人材も集中している大都市圏ではなく、都市郊外の職場の年収が高いという事実は、注目に値します。そこには薬剤師という専門性の高い人材の設置義務が背景にあると思われます。

通勤事情や子育ての環境など、総合的な人生の満足度を考慮する上で、こういった選択肢は有効ではないでしょうか。

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