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抗ヒスタミン薬とは?歴史や効能、副作用について詳しく解説!

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抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、体内でアレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」という化学伝達物質の作用を抑える薬です。

例えば、花粉症やアレルギー性鼻炎、蕁麻疹、気管支喘息などの治療に使用されています。また、市販の風邪薬にも抗ヒスタミン薬が含まれているものがあります。

このように、抗ヒスタミン薬は私達の日常生活に非常に身近な存在です。本記事では、効能例やおススメのお薬などについて、解説します。

 

1. 抗ヒスタミン薬の概要

抗ヒスタミン薬とは

1-1. 抗ヒスタミン薬とは

抗ヒスタミン薬(Antihistamine)は、神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑える薬品です。抗ヒ剤と略称されることもあります。花粉症や皮膚の痒み、風邪によるアレルギー症状などの緩和、酔い止めに使われます。

抗ヒスタミン薬は、2種類あります。第一世代は、強い眠気と認知機能の低下を引き起こします。その点で改良されたのが、第二世代の抗ヒスタミン薬です。

1-2. 歴史について

1-2-1. イタリアの薬理学者Daniel Bovetが開発

1957年にノーベル賞を受賞したDaniel Bovet

第一世代の抗ヒスタミン薬は、イタリアの薬理学者Daniel Bovetにより1930~40年代に開発されました。

その後、抗精神病薬や抗うつ薬などの中枢神経系作用薬の原型になりました。Bovetはその薬理学的業績により、1957年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。

1-2-2. James Blackが胃・十二指腸潰瘍治療薬を開発

またヒスタミン研究分野では、James Blackが胃・十二指腸潰瘍治療薬を開発しました。彼も、1988年にノーベル医学生理学賞を受賞しています。

初期に開発された第一世代の抗ヒスタミン薬は、強力な中枢抑制作用がありました。そのため1980年代に、第二世代の非鎮静性抗ヒスタミン薬の開発が開始されました。ただ欧米と比較すると日本においては、まだ多くの第一世代鎮静性抗ヒスタミン薬が医師により処方されています。その比率は、成人で20~40%、 小児で80~95%になります。(※参照/抗ヒスタミン薬の薬理学 日本耳鼻咽喉科学会会報)

1-3. 効能について

抗ヒスタミン薬は、神経伝達物質ヒスタミンの働きを抑えてくれます。その結果、アレルギー反応を鎮静化します。具体的には、「花粉症」「くしゃみ」「鼻水」「蕁麻疹(じんましん)」「喘息」「皮膚の腫れ」「咳」などを改善してくれます。

 

2. 抗ヒスタミン薬の効能の仕組み

スギ 花粉症

2-1. 花粉症はなぜ起こる?

イネ科のカモガヤ(Wikipediaより)

例えば、多くの方が悩むアレルギー症状の代表格である花粉症は、なぜ起こるのでしょうか。花粉症は、まずスギなどの植物の花粉がアレルゲンというアレルギー症状を引き起こす物質になります。それが体内に入り、目のかゆみやくしゃみ、涙、鼻水といった症状を引き起こすのです。

花粉症の原因物質としては、春に飛散するスギやヒノキが有名です。しかしそれ以外にも、イネ科のカモガヤや秋に飛散するキク科のブタクサ、ヨモギなど60種類以上があると報告されています。

2-2. ヒスタミンとは

ヒスタミン (histamine) は分子式C5H9N3、分子量 111.14 の活性アミンである(※Wikipediaより)

ヒスタミンは、アレルギー性鼻炎発症時に、鼻粘膜で中心的な働きをする物質です。化学名は、β-イミダゾールエチルアミンです。肺や肝臓、胃、大脳など生体に幅広く分布しており、通常は肥満細胞と好中球の顆粒に含まれています。

そして抗原抗体反応が起こった時、脱顆粒という生体のアレルギー反応を促進します。例えばくしゃみや鼻水は、ヒスタミンによる神経反射といえます。

2-3. 仕組みについて

膜受容体の一例(※Wikipediaより)

花粉などが鼻の粘膜に付着すると、抗原抗体反応により、ヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出されます。そしてこのヒスタミンは、鼻の粘膜にある「H1受容体」と結合します。その結果、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が起こります。

抗ヒスタミン薬は、肥満細胞から放出されたヒスタミンが受容体に結合するのを妨げます。また受容体(receptor)とは、生物の体にある外界や体内からの何らかの刺激を受け取る構造です。

抗ヒスタミン薬は、肥満細胞から放出されたヒスタミンが受容体に結合するのを妨げます。また受容体(receptor)とは、生物の体にある外界や体内からの何らかの刺激を受け取る構造です。

 

3. 副作用や注意すべき点

ヒスタミン 眠気

3-1. 眠気などの精神神経系の症状

抗ヒスタミン薬は、ヒスタミン受容体と結合します。このヒスタミン受容体は、筋肉や血管、脳など体の全身に存在します。例えば脳の場合、脳のヒスタミン受容体に結合し、覚醒作用や興奮作用を弱めます。

その結果、眠気や集中力の低下を引き起こすのです。花粉症の薬を飲んだ時に、頭がぼんやりしたり、集中力が落ちる現象はこういったメカニズムで発生するので、就寝前の服用が基本です。

抗ヒスタミン薬には、病院での受診後に処方される医療用医薬品と薬局の一般用医薬品があります。眠気が心配な場合には、第二世代か抗ヒスタミン薬を含有していないお薬がおススメです。

3-2. 口渇、吐き気、便秘などの消化器の症状

抗ヒスタミン薬の副作用には、口の渇きや吐き気、便秘、排尿障害、眼圧上昇といった症状もあります。このように、第一世代抗ヒスタミン薬は眠気以外の副作用があります。

3-3. 子どもの場合は痙攣を起こすことも

子どもが熱痙攣を起こすことも

抗ヒスタミン薬の副作用で、子どもが痙攣を起こしてしまうことがあります。例えば、脳内は興奮性神経と抑制性神経でバランスが保たれています。

ところが、抗ヒスタミン薬によってヒスタミンの抑制が取れると興奮性が強くなり、痙攣の閾値が下がります。その結果、何らかの刺激によって痙攣発作を惹起しやすくなってしまうのです。

例えばサウジアラビアでは、第一世代と第二世代の比較研究が行われています。そして、両方で抗ヒスタミン薬は痙攣発作を生じやすくしてしまうという結果が出ています。

※参照/『抗ヒスタミン薬と熱性痙攣について 徳山医師会病院薬局』

 

4. 第一世代、第二世代、第三世代とは

抗ヒスタミン薬 第一世代と第二世代

4-1. 第一世代抗ヒスタミン薬

第一世代抗ヒスタミン薬には、ペリアクチンやポララミンがあります。ただし風邪症状を悪化させたり、気道の粘液分泌を低下させ、呼吸の症状を悪化させる可能性があります。また痙攣を誘発しやすいので、お子さんには使用しないようにしましょう。

海外においては、風邪の鼻水止めは危険性の方が上回るため、ほとんど使用されていません。

4-2. 第二世代抗ヒスタミン薬

第一世代抗ヒスタミン薬の眠気や口の渇きなどの副作用が軽減されたのが、第二世代抗ヒスタミン薬です。服用後に、速やかに効果を実感できます。また最近では、第二世代抗ヒスタミン薬のOCT薬も販売されています。

4-3. 第三世代抗ヒスタミン薬

副作用が改善され、難易度の高い試験で有効性と安全性が証明されているのが、第三世代抗ヒスタミン薬です。例えば、集中力や判断力がにぶることがなく、作業効率が低下しません。また自動車などの運転に影響しません。そして他の薬との相互作用の影響を受けにくく、肝障害や腎障害、妊娠などへのリスクが少ないのも大きなメリットです。

 

5. 処方患者数の多い人気薬をご紹介

抗ヒスタミン薬 一般的な商品の特徴

アレルギー性鼻炎で、処方患者数の多い人気薬ランキングをダイヤモンド編集部が発表しています。トップ3は、全て抗ヒスタミン薬という結果になっています。人気のTOP5をご紹介します。

5-1. オロパタジン塩酸塩(製品名/アレロック)

協和キリンのアレロックは、OD錠や顆粒剤もあり、用途によって選ぶことができます。またアレロックの成分を含むパタノール点眼液という点眼薬があります。比較的速効性で、持続時間も長いです。

また飲む時間は、通常1日2回朝と寝る前です。口腔内崩壊錠(OD錠)は、水なしでも飲めます。

5-2. フェキソフェナジン塩酸塩(製品名/アレグラ)

サノフィのアレグラは、他の抗ヒスタミン薬に比べ、眠気の副作用が少ないのが大きな特徴です。特に、自動車の運転の危険性が少ないのが特徴です。錠剤とドライシロップ剤があり、用途よって選ぶことができます。

5-3. エピナスチン塩酸塩(製品名/アレジオン)

日本ベーリンガ-インゲルハイムのアレジオンは、1日1回の服用で、1日効果が持続します。また錠剤とドライシロップ剤があり、用途などによって選ぶことができます。気管支喘息などに使用する場合もあります。

5-4. モンテルカストナトリウム(製品名/シングレア)

オルガノンのシングレアは、喘息を引き起こすロイコトリエンを強力に抑制します。 例えば軽症の喘息の場合、十分な効果が得られます。 また、鼻水や鼻づまりなど鼻粘膜で起こるアレルギー症状にも効果があります。

5-5. ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム(製品名/リンデロン)

シオノギファーマと塩野義製薬のリンデロンは、目や耳、鼻の炎症に効果的なお薬です。これはステロイドの外用薬で、耳鼻科領域では外耳炎、中耳炎、アレルギー性鼻炎などに適応します。

 

6. まとめ

抗ヒスタミン薬は、花粉症の治療に使われる代表的な薬です。

第一世代の抗ヒスタミン薬は、眠気が起こったり、自動車の運転や仕事に支障をきたすことがありました。最近の第二世代や第三世代は、かなり改善されてきています。

また点鼻薬や点眼薬など、症状に合わせた薬を選ぶことができ、症状を軽減することができます。

近年は、抗ヒスタミン薬は市販薬への転用が進んでいます。人気のフェキソフェナジン塩酸塩とエピナスチン塩酸塩は市販薬があり、医師の処方箋なしで薬局で購入できます。

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