錠剤分包機は、薬を一袋ずつ均等に分ける手撒き作業を自動化することができます。錠剤分包機を導入することで、薬剤師の対物業務を軽減できます。
令和4年度診療報酬改定では、薬局・薬剤師業務の評価体系の見直しが行われました。そこでは、調剤料の一包化加算が廃止されました。今後も薬剤師の対人業務が、より推進されることが予想されます。
そうした流れの中で、分包機の導入を検討されている薬局経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで本記事では、錠剤分包機の人気機種や中古情報などを解説します。
Contents
1. 最新の錠剤分包機の特徴について
1-1. 薬品の撒き間違いを防止する全自動カセット機構
全自動カセット機構は、錠剤の手撒き作業をなくし、薬品の撒き間違いを防止します。またバリアブルカセットは現場での薬品変更が簡単で、柔軟な運用ができます。
1-2. 大量の処方箋対応も可能な高速分包
近年の錠剤分包機には、1分間に多数の分包を処理できる機種が登場しています。そういった機種を導入することで、大量の処方箋にも迅速に対応することができます。
1-3. AIによる画像認識技術
AIを活用した画像解析により、錠剤の種類や数量を正確に識別し、誤包を防ぎます。また分包後の錠剤を撮影し、画像データとして記録することで、トレーサビリティを確保することができます。
1-4. 監査支援システムとの連携
分包データを監査システムと連携させることで、薬剤師による最終確認を効率化することができます。
2. 分包機の導入率について

薬局における分包機の導入はかなり普及している
2020年9月時点で分包機(散剤)を導入している薬局は、88.2%(1,472件中1,298件)でした(※厚生労働省資料『医療安全を前提とした対物業務の効率化について』より)。また錠剤分包機の導入率は、81.3%(1,197件)でした。
このように、各種分包機の導入はかなり普及していることがわかります。また薬袋プリンターについても、薬局の7~9割が導入しています。ただし、全ての薬局が薬剤師の調剤業務の減少を実感しているわけではありません。個々の薬局のニーズにフィットした機種の導入など、導入前のシステムベンダとのすり合わせも大切です。
3. 錠剤分包機のメーカーとは
3-1. 湯山製作所(YUYAMA)
湯山製作所の錠剤分包機は、幅広いラインナップと先進的な機能が特徴です。主な特徴は、以下の通りです。
3-1-1. 全自動錠剤分包機PROUDシリーズ
大規模な薬局や病院向けに、大量の錠剤を高速かつ正確に分包できます。錠剤カウント機能や鑑査支援機能など、高度な機能が搭載されているのが特徴です。
3-1-2. 自動分割分包機Charty-Ⅳ
多様なカセットパターンに対応し、長期処方の一包化に向いている機種です。またコンパクトな設計なので、スペースの限られた薬局でも設置できるのが特徴です。
3-1-3. 小型全自動錠剤分包機Litreaシリーズ
中小規模の薬局や病院向けの全自動錠剤分包機です。省スペースえありながら、高い分包能力を発揮します。
3-1-4. 小型錠剤分包機 MINDOSE-8
限られたスペースでの使用を想定した、コンパクトで使いやすい設計が特徴です。
3-2. 株式会社タカゾノ
株式会社タカゾノの錠剤分包機は、調剤業務の効率化と安全性を追求した、高度な技術と豊富なラインナップが特徴です。主な特徴は以下の通りです。
3-2-1. Crestageシリーズ
Crestageは、 株式会社タカゾノの主力シリーズです。例えば長期処方や多種類の薬剤に対応するモデルも、用意されています。
3-2-2. Eserシリーズ
錠剤監査支援装置を搭載し、調剤過誤を防止することができます。また高度な画像認識技術により、正確な鑑査を実現しています。
3-3. 株式会社トーショー
株式会社トーショーの錠剤分包機の特徴を、以下に解説します。
3-3-1. Xana-UFシリーズ
Xana-UFシリーズは、多様な形状の錠剤に対応する可変機能の「Universal Feeder」搭載のフラッグシップモデルです。また操作用ソフト「Glitter」には、アクションごとのイラスト付きガイドやアラーム機能を搭載しています。
3-3-2. Ciシリーズ
Ciシリーズは、省スペース設計で効率的な操作性を追求したハイスペックモデルです。またデュアルディスプレイで直観的な操作を可能にしているも大きな特徴です。
3-3-3. Xana-EUシリーズ
Xana-EUシリーズは、設置環境に合ったカセット数とボディカラーが選べるスタンダードモデルです。機能や操作性、耐久性、省スペースのバランスが良いスタンダードモデルです。
3-3-4. Xana-4001U2 Advance
Xana-4001U2 Advanceは、欧州で認められた分包速度と耐久性を持った高品質モデルです。厳格なヨーロッパ基準に則った設計で、大量包装に必要な分包速度と耐久性を実現しています。
4. 錠剤分包機の中古商品について
4-1. 中古商品の探し方
中古の錠剤分包機は、主に以下の場所で見つけることができます。
4-1-1. 中古医療機器販売業者
錠剤分包機は、中古医療機器販売業者が取り扱っています。これらの業者は、動作確認やメンテナンスを行った上で販売していることが多く、安心して購入できます。具体的には、株式会社インターメディカルや株式会社グリーンメディカルなどがあります。
4-1-2. インターネットオークションやフリマサイト
ヤフオク!やメルカリなどのオンラインプラットフォームでも、中古の錠剤分包機が出品されていることがあります。業者の場合は過去の評価をチェックできますが、個人出品の場合は動作保証やアフターサービスがない場合があるので注意が必要です。
4-1-3. 医療機器リース会社
リース期間が終了した錠剤分包機が、中古として販売されることがあります。リース会社は、機器のメンテナンスを定期的に行っているため、状態の良いものが見つかる可能性があります。
4-1-4. 医療機関や調剤薬局からの譲渡
閉院や機器の更新などで不要になった錠剤分包機が、譲渡や売却されることがあります。例えば地域の医療機関や調剤薬局に問い合わせてみるのも、一つの方法です。
4-2. 中古商品の価格について
中古の錠剤分包機の価格は、機種や状態、年式などによって異なります。一般的な価格帯としては、以下のようなものが挙げられます。
・状態の良い比較的新しい機種:数十万円~数百万円
・古い機種や状態がやや劣るもの:数万円~数十万円
4-3. 中古商品購入時の注意点
中古の錠剤分包機を購入する際には、以下の点に注意しましょう。
中古商品購入時の確認ポイント
① 動作確認…購入前に正常に動作するかどうか
② メンテナンス履歴…定期的なメンテナンスが行われていたか
③ 保障…中古医療機器販売業者で購入する場合の保証の有無
④ アフターサービス…購入後のメンテナンスや修理などのアフターサービスについて
⑤ 消耗品の入手…分包紙などの消耗品が容易に入手可能か
⑥ 設置スペース…分包機のサイズと設置場所のサイズが合っているか
5. まとめ
「2025年問題」も含め、日本では深刻な超高齢化が進行しています。それに伴い、医療費の高騰も財政の重要テーマです。
そうした環境の中、薬剤師に求められる役割も大きく変化しつつあります。より患者さんに向き合い、薬物治療の専門知識が活きる業務へのシフトが推進されることが予想されます。
そのような業務設計を支援する設備の一つが、今回ご紹介した錠剤分包機です。製品に関しては、各メーカーごとに様々な種類が販売されています。そのため、薬局のニーズに一番合う機種選びが求められます。
金額も高いため、導入においては先行導入している薬局や口コミ、システムベンダにヒアリングすることをおススメします。より良い薬局作りのために、本記事が少しでも参考になれば幸いです。