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病態生理とは?ケアの元の現象を把握し、分析する重要性とは

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病態生理

病態生理とは、人が病気にかかった時の体の状態や原因に関することです。またそれを解明することを、病態生理学といいます。

症状が発生するまでに、体がどのような反応を経て発症しているかを、正確に捉えることは重要です。なぜなら、患者さんの体の現状把握と今後の予想は、ケアに必要不可欠だからです。

本記事では、病態生理について、解説します。

 

1. 病態生理の概要

病態生理

まず最初に、病態生理とは何かについて解説します。

1-1. 病態生理について

例えば人は病気になると、身体機能はどのような状態になるのでしょうか。また異常の原因は、何なのでしょうか。そういった患者さんの「自覚症状」や「検査結果」を分析することを、病態生理といいます。

病態生理は、看護を行う上で非常に大切です。なぜなら、患者さんの身体に何が起こっているか、今後の予想がつかないと、どんなケアが必要か判断できないからです。流れとしては、患者さんの現状を正確に把握し、想定され得る原因疾患をアセスメントします。そして必要な看護計画を立てて、実際の看護を行います。

1-2. 病態生理と病理の違い

病態生理は、今患者さんの身体に起こっている現象を捉え、どのような身体反応を経て発症しているかを分析することです。

一方病理は、各々の臓器に生じる病気ごとに原因や病気の成り立ちを把握するものです。例えば、「胃カメラの検査で癌が見つかった」というニュースがよくあります。この時病変の一部を分析し、それを診断するのが病理です。

1-3. 近代看護の祖ナイチンゲール

1-3-1. 衛生状態が死因であることをデータで証明

「近代看護教育の生みの親」といわれているのが、イギリスの看護師フロレンス=ナイチンゲール(1820年-1910年)です。ナイチンゲールは、イギリス政府の看護師団のリーダーとして、クリミア戦争に派遣されました。そして、病院内の衛生状況を大幅に改善しました。その結果、傷病兵の死亡率を劇的に引き下げることに成功しました。

その方法は、統計に関する知識の活用です。例えば、ナイチンゲールはイギリス軍の戦死者・傷病者に関する膨大なデータを分析しました。その結果、彼らの多くが戦闘で受けた傷ではなく、傷を負った後の治療や病院の衛生状態が十分でないことが原因で死亡したことを明らかにしたのです。

1-3-2. 観察記録の提出を義務付ける

ナイチンゲールは、看護を「実際的で科学的で系統だった訓練を必要とする芸術」と述べています。特徴的なのは、聖トマス病院看護婦学校における病院実習です。看護教師に対し、毎日の病棟のシスターや病棟看護婦からの学び、特殊な症例などの観察記録の提出を義務付けました。また医学教師には、24時間の観察記録と症例報告を義務付けました。

 

2. 心疾患について

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心不全

ここでは、心疾患について解説します。

2-1. 心不全とは

一般的に心不全は、心臓が悪化した結果「息切れ」や「むくみ」が起こり、生命を縮めてしまう病気と定義されています。

心臓の悪化とは、医学的には「心腔内に血液を充満させ、それを駆出するという心臓の主機能に障害が生じている」状態を指します。その結果、「心外膜」「心筋」「心内膜疾患」「弁膜症」「冠動脈疾患」等を引き起こします。心不全は、年齢を重ねるごとに発症リスクが上がります。

 

3. 呼吸器疾患について

呼吸器疾患

ここでは、呼吸器疾患について解説します。

3-1. 気胸とは

何らかの原因で肺から空気が漏れ、その結果肺が潰れてへこんでしまうのが、気胸です。軽症の場合、安静にすれば自然治癒も可能です。一方「血圧低下」「重い呼吸障害」が起こる緊張性気胸の場合、緊急の対応が必要になります。

3-2. 肺炎とは

肺炎とは、気道経由で侵入した細菌やウイルス等の病原体が肺内で増殖し、炎症が起こった状態です。例えば肺炎の要因には、「脳血管障害」「呼吸器疾患」「心疾患」「腎疾患」「糖尿病」などがあります。また肺炎の病原体には、「肺炎球菌」「インフルエンザ菌」「肺炎マイコプラズマ」「肺炎クラミジア」などがあります。

3-3. 呼吸不全(急性呼吸不全/慢性呼吸不全)とは

呼吸不全とは、肺と心臓に機能障害が起こり、全身に十分な酸素が回らなくなる状態です。通常肺は、身体中の酸素や二酸化炭素のバランスを維持するためにガス交換を行います。しかし肺の機能障害が起こると、身体の中の酸素が足りなくなります。その結果、全身の臓器で様々な障害が起こります。

 

4. 腎疾患について

腎疾患

腎臓病は、腎臓の「糸球体」や「尿細管」が冒され、腎臓の働きが悪くなる病気です。様々な種類があり、それぞれの原因や症状も異なります。

腎臓の大きな特徴は、一度その機能が失われると回復せず、慢性腎不全になるリスクがあることです。ただ近年は医療技術が進歩し、早期治療を開始すれば、腎臓機能の低下を防止したり、遅らせたりできるようになりました。

 

5. その他の病態について

5-1. 摂食嚥下障害とは

摂食嚥下障害(または嚥下障害)は、「食べること」「飲み込むこと」の障害が起こります。その結果、食事や水分などが上手に食べれない・飲み込めない状態になります。

症状としては、「食べ物を噛めない」「口からこぼれる」「飲み込むのに時間がかかる」「食後に痰が多い」などがあります。またこれらの症状が、「低栄養」「脱水」「肺炎」などに繋がるリスクがあります。

5-2. 意識障害とは

意識障害には、「意識レベルの障害」と「意識内容の障害」の2種類があります。例えば意識レベルの障害は、「大脳皮質の広範な障害」「上行性網様体賦活系の障害」「両者」「心因性」のいずれかによります。また意識変容は、「大脳皮質の広範障害」「大脳皮質の局所的障害」「心因性」により生じます。

意識障害には、様々なレベルがあります。例えば、「眠りがち」「会話や考えの混乱」「集中力を欠く」などの状態も含まれます。

5-3. ショックとは

ショックとは、血液の循環に何らかの障害が起きている状態のことです。その結果、身体の組織に十分な血液が行き渡らなくなります。これを「急激な全身性末梢循環不全」といいます。この場合、適切な処置を行わないと、臓器に障害が起こったり、最悪死に至ることもあります。

5-4. 電解質異常とは

電解質とは、水などの溶媒に溶解した際に陽イオンと陰イオンに電離する物質です。具体的には、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、リン(P)、クロール(Cl)、重炭酸(HCO3–)などがあります。これらの物質は、身体の機能の維持や調節など、生命活動に必要な役割を果たしています。電解質異常の多くは、検査値の異常から発見されます。ただ患者さんの疾患から、電解質異常を推測する視点を持つことも重要です。

 

6. まとめ

私達は、普段から病態生理を身近に見ています。

重要なのは、原因と症状を正確に把握し、そこから最適な対処法を選択することです。

病態生理は学問としても、「循環病態生理学」「呼吸病態生理学」「神経病態生理学」「代謝病態生理学」「消化器病態生理学」「体液病態生理学」「環境病態生理学」等の様々な分野があります。

人の身体の変化と対処方法は、健康に直結する重要なテーマといえます。

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