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かかりつけ薬剤師指導料の点数とは?生活保護者への対応も紹介

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かかりつけ薬剤師指導料の点数は、服薬状況を一元的に把握した患者さんに対して、服薬指導等を行った場合に算定できます。これは日本の医療保険制度において、適切な薬物療法のサポートを目的としています。

近年、かかりつけ薬剤師指導料の算定回数及び算定薬局数は、横ばいとなっています。また今後の方向性としては、「患者さんがどう改善されたか」というアウトプットの評価への切替えが進められるが想定されます。

本記事では、かかりつけ薬剤師指導料の点数について解説します。

 

1. かかりつけ薬剤師指導料の点数について

1-1. かかりつけ薬剤師指導料はいくら

かかりつけ薬剤師指導料の点数は、薬局で薬剤師が患者さんに対して行う継続的な服薬指導や管理に対して算定できる点数です。これは、患者さんの服薬状況を一元的に把握し、適切な薬物療法をサポートすることを目的としています。

2016年度の調剤報酬改定において、「かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料」が新設されました。この時の点数は70点でしたが、現在は受付1回につき76点まで点数が引き上げられています。またかかりつけ薬剤師包括管理料は291点になります。

1-2. かかりつけ薬剤師指導料の要件

① 患者さんの同意を得た上で、同意後の次の来局時以降に算定できる
② 同意については患者さんの署名付きの同意書を作成した上で保管し、薬剤服用歴に記載する
③ 患者さん1人に対して、1人の薬剤師が算定できる
④ かかりつけ薬剤師の氏名や勤務先の保険薬局の名称及び連絡先を、手帳等に記載する
⑤ 以下の業務を実施する
・薬剤服用歴管理指導料に係る業務
・患者さんが受診している保険医療機関や服用薬等の情報の把握
・24時間相談できる体制を取り、患者さんに開局時間外の連絡先を伝え、勤務表を交付する
・調剤後も患者さんの服薬状況、指導等の内容を処方医に情報提供し、必要に応じて処方提案する
・必要であれば家を訪問し、服用薬の整理等を実施する

1-2. 他の薬剤師が対応した場合

同じ薬局内の別の薬剤師が対応した場合、 かかりつけ薬剤師指導料は算定できません。また単回の調剤のみで、継続的な関与がない場合も算定できません。

1-3. かかりつけ薬剤師の資格要件

① 薬剤師として一定の経験年数がある(通常3年以上)
② 継続的に研修を受講している
③ 所定の認定を受けている

2. 地域支援体制加算との関係について

2022年度の調剤報酬改定では、地域支援体制加算が4区分に分けられました。このことは、かかりつけ薬剤師指導料の算定状況が変わる契機になったと考えられます。

2-1. 地域医療に貢献する体制があることを示す実績について

2-1-1. 条件1

① 麻薬小売業者の免許を受けていること
② 在宅薬剤管理の実績が24回以上あること
③ かかりつけ薬剤師指導料等に係る届出を行っている
④ 服薬情報等提供料の実績が12回以上あること
⑤ 研修認定制度などの研修認定を取得した薬剤師が、地域の多職種との連携会議に1回以上出席している

2-1-2. 条件2

① 夜間・休日等の対応実績/400回以上
② 麻薬の調剤実績/10回以上
③ 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績/40回以上
④ かかりつけ薬剤師指導料等の実績/40回以上
⑤ 外来服薬支援料の実績/12回以上
⑥ 服用薬剤調整支援料の実績/1回以上
⑦ 単一建物診療患者が1人の在宅薬剤管理の実績/24回以上
⑧ 服薬情報等提供料の実績/60回以上
⑨ 研修認定制度などの研修認定を取得した薬剤師が多職種との連携会議に5回以上出席

3. かかりつけ薬剤師の不在時の算定とは

3-1. かかりつけ薬剤師の不在時に算定はできる?

基本的にかかりつけ薬剤師が直接対応できない場合は、「かかりつけ薬剤師指導料」や「かかりつけ薬剤師包括管理料」は算定できません。ただし、以下のような状況では例外的に算定が可能です。

① 短期の休暇や急病などで一時的な不在で、かかりつけ薬剤師が継続的に管理している場合
② 患者さんの了承を得て、別の薬剤師が一時的に対応する場合

3-2. 代替薬剤師が対応する場合の算定ルールについて

かかりつけ薬剤師が不在でも、一定の条件を満たせば、通常の服薬指導や管理が可能な範囲で算定が可能です。ただし、「かかりつけ薬剤師指導料」としては算定できため、以下のように対応します。

3-2-1. かかりつけ薬剤師がいない場合の算定方法

① 通常の服薬指導を行った場合「薬剤服用歴管理指導料」を算定する
② かかりつけ薬剤師本人が対応できないため、「かかりつけ薬剤師指導料」は算定できない
③ できれば必要に応じて患者さんへ説明し、了承を得る

3-2-2. 退職や長期休職など長期間不在の場合

かかりつけ薬剤師が長期間不在になる場合、患者さんと相談した上で、新たにかかりつけ薬剤師を選任する必要があります。この場合、患者さんの同意を得た上で、新たに「かかりつけ薬剤師指導料」を算定することができます。

4. 生活保護者のかかりつけ薬剤師指導料について

生活保護受給者の場合、かかりつけ薬剤師指導料は請求できません。その理由は、生活保護法に基づく医療扶助で算定できる調剤報酬が制限されているからです。

4-1. 生活保護と調剤報酬の関係

生活保護を受けている人の医療費は、原則として国や自治体が全額負担しています。そのため、請求可能な調剤報酬には一定の制限があります。具体的には、生活保護受給者に対して算定できる調剤報酬には、以下のようなものがあります。

① 調剤基本料
② 服薬情報提供料などの薬学管理料

4-2. 生活保護法と医療扶助のルールについて

生活保護制度では、医療機関や薬局が請求できる診療報酬や調剤報酬について、国が定めた基準があります。また過度な負担がかからないように、制限されています。そのため生活保護受給者に対しては、通常の健康保険制度で認められている加算や特別な管理料などが、算定対象外となることが多いです。

5. かかりつけ薬剤師指導料の届け出先について

「かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に係る届出書添付書類」と「特掲診療料の施設基準に係る届出書」を、保険医療機関が所在する県を管轄する事務所に届け出をします。

6. まとめ

かかりつけ薬剤師制度を活用することで、特に多剤併用の高齢者や慢性疾患の患者さんは、より安全で効果的な薬物療法が実現できます。

かかりつけ薬剤師指導料を算定できない場合としては、同一の薬局内で別の薬剤師が対応するケースがあります。また単回の調剤のみで継続的な関与がない場合や、同一月内で重複請求した場合があります。

薬局の経営的メリットとしては、継続的なサポートによって患者さんと信頼関係が構築され、安定した利用が期待できます。

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