薬剤師の仕事内容は、大きく分けて対人業務と対物業務があります。本来は、薬剤師にしかできない業務に取り組むべきです。そのためには、各種機器の導入や薬剤師以外のリソース対応を進めることが重要です。具体的には、調剤機器のアップデートや薬剤師以外の職員の研修などがあります。
そういった流れの中でも、調剤業務は薬剤師の独占業務であることは変わりません。そして処方箋の枚数は、薬剤師の仕事の大きな指標の一つとえるでしょう。
本記事では、処方箋という切り口から薬剤師の仕事を考察したいと思います。
Contents
1. 対人業務の充実と対物業務の効率化
1-1. 病院で不足する薬剤師
調剤業務は、薬剤師しかできない業務です。しかし日常業務において、薬剤師の業務は広範囲に渡ります。具体的には薬の調剤だけでなく、薬の管理や服薬指導、医薬品の販売などがあります。また病院や大学の研究職では、医薬品の研究開発業務にも携わります。
特に病院では、薬剤師が不足する傾向があります。その対応策としては、薬剤師の確保だけでなく、対物業務における薬剤師以外の人材活用が求められています。
1-2. ロボット調剤の活用
調剤業務は、時代とともに進化してきました。例えば、今から60年前に薬の分包作業が自動化されました。その結果、薬を包んだり、分包紙への名前の記入といった手間がなくなりました。散財分包機を始め、機械による調剤業務自動化は、薬剤師の業務の軽減化に役立っています。
その流れにあるのが、コンピュータが調剤業務一式を薬剤師の代わりに行うロボット調剤です。例えば処方データを入力するだけで、薬剤の選択、計量、分割、分包まで行います。しかも電子カルテと連動しているので、受診後に医師が入力した後に調剤をスタートできます。
ただしロボット調剤には、高額な導入コストや調剤料の減少という課題もあります。薬剤師の対人業務へのシフトだけでなく、報酬の引き上げによるバランスも薬局経営上の大きなテーマになりつつあります。
2. 薬剤師の処方箋枚数について
2-1. 薬剤師の処方箋枚数の現状
全国の薬局の1店舗あたりの薬剤師の数は、平均2.58人です。1ヶ月の処方箋受付回数は、約1,200回です。また薬剤師の1人あたりの1日の処方箋受付枚数は、16~20枚の薬局が最多です。(※「薬局薬剤師に関する基礎資料」より)
厚生労働省の統計では、2020年(令和2年)は総数は8.6億枚でした。その後10年間は増加し、2035年(令和12年)には9.5億枚、2045年(令和27年)は9.3億枚と推計しています。
2-2. 薬局運営ガイドラインで定められた1日40枚
薬剤師1人当たりの処方箋枚数は、1日40枚までと「薬局運営ガイドライン」で定められています。処方箋枚数の40枚を超えなければ、薬局を1人で運営しても問題ないと考えられます。ただし労働基準法に違反する働き方は違法に該当するので、注意が必要です。
2-3. 薬剤師の処方箋枚数が1日40枚を超える場合
1ヶ月に対応した処方箋枚数を稼働日数で割った場合の数字が、40枚を超えた場合はどうすればいいのでしょうか。1ヶ月で1日だけ40枚を超える日があっても問題にはなりません。しかし、40枚を大幅に超える場合はパートの薬剤師採用等の対応が必要です。
地域によっては、求人を出してもなかなか採用できない状況もあります。そういった場合は理解されますが、募集活動をしていない場合は指導の対象となりますので、注意が必要です。
3. 1人薬剤師の薬局の現状について
3-1. 1人薬剤師の薬局のシェアは32.9%
2021年の厚生労働省のデータによると、全国の薬局1,472店舗のうち、常勤薬剤師が1人だけの店舗は32.9%でした。(※『薬剤師の需給動向把握事業における調査結果概要』より)つまり、約3分の1の薬局が1人薬剤師の状態です。2人以下で全体の半数以上(62.4%)を占めています。
また常勤薬剤師が1人しかいない薬局の割合は、地域によっても差があります。例えば、鹿児島県は66.3%、高知県は66.0%、和歌山県は64.9%という高い割合になっています(※内閣府の『調剤・薬剤費の費用構造や動向等に関する分析』より)
ちなみに、東京都は35.0%です。今後対物業務から対人業務へのシフトが推進される薬剤師ですが、薬局の数や薬剤師の数を適正にする動きも予想されます。
3-2. 1人薬剤師のメリット
薬局という現場は、狭い空間で毎日同じメンバーと働きます。そのため、人間関係でストレスを感じる方も少なくありません。しかし1人薬剤師の場合、現場での人間関係に悩むことはありません。また調剤から監査、投薬まで一人で行うため、業務全般の知識と経験を深めることができます。
特に店舗経営に関する経験は、将来独立を考えている方にとっては貴重なノウハウを積むことができます。1人薬剤師は管理薬剤師を兼務することも多く、平均年収も50~60万円高くなる傾向があります。
3-3. 1人薬剤師のデメリット
1人薬剤師のデメリットで一番大きいのは、調剤ミスのリスクです。例えば複数の薬剤師によるダブルチェックができないため、第三者によるミス防止策ができません。そのため、常に「間違っているかもしれない」という危機意識を持って行うことが大切です。
また業務上の困ったことや悩みについて、相談できる相手がいないのも大きなポイントです。知識や経験の不足をカバーする必要がある経験の浅い薬剤師の方は、相談できる先輩がいる一定規模の薬局で経験を積む方がいいでしょう。
4. まとめ
本記事では、薬剤師の処方箋枚数や、業務軽減方法、1人薬剤師の薬局について解説してきました。超高齢化を迎えた日本社会において、薬剤師は健康を支える薬物療法の中核的存在です。
一方で医療費の抑制を反映した医療報酬点数体系や、薬局の統廃合など、薬局業界の構造変革も推進されています。そういった流れの中で、薬剤師としての自分の理想をどう設定し、それを実現するキャリアプランを考え、実行することがとても重要です。
本サイトでは、薬剤師の業務に必要な最新情報を随時アップしていきます。また将来のキャリア形成に役立つ情報も掲載していく予定です。