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精神科専門の薬剤師とは?12年前から倍増の精神疾患対策へ

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2024年度版厚生白書によれば、2020年時点の精神疾患の外来患者は586.1万人です。この数字は12年前から倍増しており、心の健康に対するリスクが重視されてます。

精神科医療において、薬剤師の果たす役割はとても重要です。一般的な薬剤師のイメージは、病院や調剤薬局かも知れません。しかし、精神科薬物治療で果たす薬剤師の役割は年々増大しています。

その背景には、病院薬剤師と薬局薬剤師の連携の必要性があります。例えば薬薬連携には診療報酬が設定され、医療保険制度でも推奨されています。

本記事では、精神科専門の薬剤師として活躍するポイントについて解説します。

 

1. 精神科専門の薬剤師として活躍するには

日本では「精神科専門の薬剤師」という国家資格はありません。しかし、精神科分野に特化した知識とスキルを身に付けるための資格や研修制度があります。

その代表的な認定薬剤師制度は、「日本病院薬剤師会認定薬剤師」と「精神科薬物療法認定薬剤師」です。これらは、病院薬学に特化した内容を充実させたものになっています。

2. 日本病院薬剤師会認定薬剤師について

2-1. 日本病院薬剤師会認定薬剤師とは

日本病院薬剤師会認定薬剤師は、一般社団法人日本病院薬剤師会によって認定される資格です。臨床現場のチーム医療に参加できる薬剤師を養成する目的で、2015年に新設されました。

この資格を所有すると、病院や診療所などの医療現場での実践力があると認定されるメリットがあります。

2-2. 資格を取得するための要件

2-2-1. 要件1

日本病院薬剤師会の正会員または特別会員(保険薬局勤務・大学教員等の薬剤師)であること。

2-2-2. 要件2

薬剤師としての実務経験が5年以上あること。

2-2-3. 要件3

申請時点において、病院における実務経験が3年以上継続してあること。

2-2-3. 要件4

下記のいずれかの資格を、取得していること。

・日病薬病院薬学認定薬剤師
・薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師
・日本医療薬学会医療薬学専門薬剤師認定制度により認定された医療薬学専門薬剤師・医療薬学指導薬剤師

2-2-4. 要件5

下記の認定実務実習指導薬剤師養成講習会を、受講していること。

・薬剤師の理念講座
・薬学教育モデル・コアカリキュラム及び薬学実務実習に関するガイドライン講座
・学生の指導(法的問題)、学生の指導(薬局関係)及び学生の指導(病院関係)

2-3. 日病薬認定指導薬剤師取得のメリット

日病薬認定指導薬剤師を取得するメリットを、以下に記します。

・最新の知識や高い技能を身に付けている証明になる
・主体的にチーム医療に参加することができる
・医師や看護師などの医療スタッフからの信頼が得やすい
・医療の専門家としての大きなヤリガイを実感できる

3. 精神科薬物療法認定薬剤師について

3-1. 精神科薬物療法認定薬剤師とは

精神科薬物療法認定薬剤師は、一般社団法人日本病院薬剤師会に認定された資格です。例えば精神疾患治療における薬物療法において、より高度な知識や技術がある認定資格として、活躍の場が広がっています。

3-2. 資格を取得するための要件

3-2-1. 要件1

日本の薬剤師免許を持ち、薬剤師として優れた見識を備えていること。

3-2-2. 要件2

薬剤師としての実務経験が3年以上あること。また日本病院薬剤師会、日本薬剤師会、日本女性薬剤師会、日本保険薬局協会の会員であること。ただし、日本保険薬局協会は会員である保険薬局に勤務する薬剤師であれば、これを満たす。

3-2-3. 要件3

下記いずれかの会員であること。

・日本医療薬学会
・日本生物学的精神医学会
・日本薬学会
・日本病院・地域精神医学会
・日本臨床薬理学会
・日本社会精神医学会
・日本精神神経学会
・日本老年精神医学会
・日本神経精神薬理学会
・日本精神科救急学会
・日本臨床精神神経薬理学会
・日本認知症学会
・日本精神薬学会

3-2-4. 要件4

日病薬病院薬学認定薬剤師であること。ただし、日本医療薬学会の専門薬剤師制度により認定された専門薬剤師であればこれを満たす。

3-2-5. 要件5

申請時において、精神科を標榜する病院、または診療所、もしくは精神科の処方せんを応需している保険薬局に勤務していること。また精神科薬物療法に3年以上、かつ申請時に引き続いて1年以上直接従事していること(所属長の証明が必要)。

3-2-6. 要件6

日本病院薬剤師会が認定する精神科領域の講習会、及び以下に定める学会及び団体が主催する精神科領域の講習会などを所定の単位(40時間、20単位)以上履修していること。

3-2-7. 要件7

精神疾患患者に対する指導実績が、30症例以上(複数の精神疾患)を満たしていること。

3-2-8. 要件8

病院長もしくは、施設長等の推薦があること。

3-2-9. 要件9

日本病院薬剤師会が行う精神科薬物療法認定薬剤師認定試験に、合格していること。

3-3. 資格を取得する方法

3-3-1. 講習会受講料(1日)

・会員/8,000円(税別)
・非会員/15,000円(税別)

3-3-2. 認定試験受験料

・会員/10,000円(税別)
・非会員/15,000円(税別)

3-3-3. 認定審査料

・会員/10,000円(税別)
・非会員/15,000円(税別)

3-3-4. 認定料

・20,000円(税別)

3-3-5. 更新審査料

・会員/10,000円(税別)
・非会員/15,000円(税別)

3-3-6. 更新料

・20,000円(税別)

3-3-7. 認定期間

・5年

3-4. 精神科薬物療法認定薬剤師取得のメリット

精神科薬物療法認定薬剤師を取得するメリットを、以下に記します。

・精神科薬物療法の高度な知識と技術があることを証明できる
・自身の専門性が可視化でき、キャリアアップに役立つ
・より専門性の高い精神科専門薬剤師への認定が申請できる

4. まとめ

精神疾患は、医療計画における5疾病6事業における疾患の一つです。しかもその患者数は、令和2年に糖尿病を超えるほど増加しています。

精神病床については、治療機能ごとの病棟機能分化が推進されていました。そして令和6年度診療報酬改定では地域包括ケア病棟が誕生し、急性期(救急急性期病棟)、地ケア病棟(回復期)、精神療養病棟(慢性期)といった病棟ごとの機能分化がラインナップされました。

こういった背景の中、精神科専門の薬剤師の役割は重要になってきています。具体的には薬物サポートや、患者さんとのコミュニケーション、多職種連携、副作用モニタリングがあります。

薬剤師が活躍する分野は、今後多様化が進むと思われます。

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