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ブリッジング試験とは?海外治験データ活用で新薬の早期承認へ

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ブリッジング試験

ブリッジング試験は、海外の臨床データを新しい地域の住民集団でも代用できるかを調べる臨床試験です。また「有効性」や「安全性」、「用法・用量」などの薬学的データを得ることを目的としています。

日本での医薬品開発戦略は、単独試験からブリッジング戦略、MRCT(国際共同治験)まで、多様化が進んでいます。

本記事では、ブリッジング戦略とその周辺知識について、解説します。

1. ブリッジング試験について

ブリッジング試験

ブリッジング試験は、海外の治験データが国内データと一致しているかを精査します。1998年、新薬申請の国際規格であるICH(日米EU医薬品規制調和国際会議)で海外の治験データを国内の治験データに追加・代用することが認められて以来、ブリッジング試験が行われるようになりました。

厚生労働省の資料では、以下のように定義づけられています。

■ 外国臨床データを、新地域に外挿するために新地域で実施される補完的な試験。新地域における有効性、安全性及び用法・用量に関する臨床データ又は薬力学的データを得るために実施される。このような試験が、薬物動態に関する付加的な情報を含むことがある。

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2. ブリッジング試験のガイドラインについて

ブリッジング試験のガイドライン

ブリッジング試験のガイドラインは、平成10年(1998年)の厚生労働省医薬安全局長の通知が参考になります。ポイントを、以下に記します。

2-1. ブリッジング試験の背景

全ての地域で、承認申請を行う地域で受け入れられる規制要件と臨床試験の実施基準を満たす外国臨床データが理想です。しかし、民族的要因が「医薬品の安全性」「有効性」「用法・用量」に与えるという懸念があります。その懸念が、外国臨床データに頼ることを躊躇する理由でした。

しかし、多くの医薬品はどの地域でも類似した特性や効果を示しています。全ての医薬品の臨床評価を重複させることは、新しい治療法の導入を遅らせることになります。また、医薬品開発における資源の浪費にもなります。

2-2. ブリッジング試験の適用範囲について

では、海外の臨床データを活用して、どのように申請要件を満たせばいいのでしょうか。まず、「臨床試験計画」と「実施方法に関する新地域の基準」を満たす必要があります。また承認申請データは、新地域の規制要件を満たす必要があります。

さらに臨床データパッケージを完全にするには、新地域での追加試験もあります。

2-3. 臨床データパッケージの適合性評価

臨床試験の計画、実施、解析等を扱うICHガイドラインは、臨床データパッケージの概念を応用する際に役立ちます。ICHとは、医薬品規制調和国際会議です。

「GCP」「用量反応の評価」「安全性データの適切性」などがあります。またICHでは、専門家で構成される作業部会が科学的な議論を行っています。

 

3. ブリッジング試験例について

エーザイのアルツハイマー治療薬「アリセプト」

ブリッジング試験例で有名なのは、エーザイのアルツハイマー治療薬「アリセプト」や大正製薬の発毛促進剤「リアップ」、ファイザー製薬のED治療薬「バイアグラ」などがあります。

アリセプトは、厚生労働省が初めて米国内での治験データをもとに国内の承認申請を簡略化しました。その結果、通常2年以上かかる審査をわずか1年ほどでスピード承認されました。

 

4. まとめ

ブリッジング試験は、すでにある海外データを外挿するための小規模な国内臨床試験です。

近年では、三極同時にグローバル臨床試験を実施しています。そして各地域の臨床試験データを相互に外挿し、新薬承認申請を実施しています。

各地域の臨床データを外挿することにより開発・承認申請を行うためには、日・米・欧の規制当局間でネットワークを構築し、科学根拠に基づく承認申請な情報を規制当局間で統一することが有益とみなされています。

今後も新薬開発の状況につて、本サイトで取り上げていく予定です。

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