薬局業界の変化のスピードが加速しています。厚生労働省が定める医療報酬改定では、「対物業務から対人業務」へのシフトが推進されています。調剤業務の外注サービスも登場し、従来以上に薬剤師の専門知識を生かしたコミュニケーションサービスの必要性がタカ余っています。一方大手ドラッグストアは強力な仕入れ力で日用品の安売りで集客力を高め、ポイント制度で顧客囲い込みを推進しています。
こうした環境の中、薬剤師の転職は自分自身の労働環境と収入を変える絶好の機会です。そのポイントを、解説します。
1. 薬剤師の転職は希望条件と採用側ニーズとのマッチング
まず大前提として、薬剤師の転職市場において「働きやすい職場」「待遇の良い職場」ほど人気が集中します。つまり、合格する難易度が上がります。転職を志望される方には、様々な希望条件があります。例えば「給与」「人間関係」「ワークライフバランス」「Uターン」など、人によってその条件は様々です。その条件と採用側のニーズのマッチングが、転職活動の本質といえます。
ここでのポイントは、採用側のニーズをどうやって把握するかです。採用側の求める人物像は、求人情報に明記されている場合もあります。しかし一番の理想は、他の求職者では言えない独自情報を掴むことです。その情報に合わせて自分を売り込むことが、マッチングの近道といえます。
2. 本当に入りたい職場を徹底的に調べる
「孫子・謀攻編」の有名な格言に、「彼を知り己を知れば百戦殆からず」というものがあります。この「彼を知る」というのは、誰もが入手できるインターネット上の情報だけではなく、転職希望先の独自情報を手に入れることです。また「己を知る」というのは、客観的な自己分析です。かのナポレオンも参考にしたこの孫子の言葉は、薬剤師の転職活動にも生かすことができます。
例えば入りたい調剤薬局があれば、実際の足を運んで雰囲気を確かめましょう。商品を買えば、品揃えや接客方法も把握することができます。またドラッグストアの上場企業は、IR資料に目を通しましょう。セグメント別の収益状況だけでなく、今後の事業戦略も参考になります。
3. 自分と志望先のマッチングポイントを設定する
薬剤師の転職活動のハイライトシーンは、採用面接官に「なぜ弊社なのですか」と聞かれる場面です。そこにリアルな整合性と情熱があるかどうかで、合否が分かれます。そのロジックを組み立てるには、自己分析が必要不可欠です。
「自分がなぜ薬剤師を目指そうと思ったのか」から始まり、今までのキャリアを客観的にテキストに落とし込みます。そして自分の「強み」と「弱み」を浮き彫りにし、転職志望先のメリットと重ね合わせます。雇用側にとって、薬剤師の採用活動は「仲間探し」であり、「戦略強化」です。いかに共感を持ってもらえて、「戦力性」を証明できるかが重要なポイントです。