新卒中途問わず、薬剤師の採用は、薬局やドラッグストアの発展には必要不可欠です。厚生労働省発表の2020年1月の「職業別一般職業紹介状況」では、薬剤師の有効求人倍率は4.76倍です。つまり、薬剤師は転職市場において売り手市場といえます。そんな環境において、薬剤師の採用を成功させるにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、そのポイントについて解説します。
1. 欲しい人物像と差別化ポイントを設定する
まず最初に、どんな人材が必要なのかを設定する必要があります。新卒なのか、3年以上実務経験がある人材なのか、管理薬剤師なのかなど、洗い出します。次に、他の薬局やドラッグストアの求人内容との差別化ポイントを設定します。年収レベルでは、大手ドラッグストアとの競争は厳しいのが現実です。しかし世の中の薬剤師全員が、年収で転職先を選ぶわけではありません。
例えば地方の調剤薬局の場合、豊かな自然や名産、ゴルフ場などに恵まれている所も少なくありません。ワークライフバランスに沿った豊かな人生が送れるイメージを伝えることで、薬剤師の中途採用に成功している薬局もあります。また地域に密着した健康イベントの実施など、顔が見える健康サポート活動も社会貢献性をアピールできます。
2. 求人媒体+自社ホームページ+SNSが理想
自社のホームページで優秀な薬剤師を採用できるのが理想です。しかし現実は、それほど甘くありません。薬剤師求人におけるメディアパワーは、薬剤師専門転職サイトと大手ドラッグストアの独壇場です。その理由は、大量の広告宣伝費と予算と時間をかけたSEO対策の実施によるものです。
ではどうすればいいのでしょうか。結論としては、「求人メディア+自社サイト+SNS」の組み合わせがおススメです。考え方としては、求人メディアで母集団を形成し、自社サイトでクロージングをかけます。同時にSNSで日常的な情報を発信することで、親近感や共感を醸成します。
特に重要なのは自社サイトです。ターゲットが入社したらどうなれるのか、その将来イメージをリアルにどれぐらい伝えられるかが効果を左右します。例えば大手ドラッグストアの採用ページでは、職種ごとに社員インタビューを掲載しているケースが結構あります。そこでは「働きやすさ」「人間関係」「教育制度」「オフの過ごし方」等を上手に伝えています。
3. 意外と無視できないSNSの採用効果
SNSを活用した採用活動は、Webリテラシーが高い若い世代へのアプローチに特に効果的です。特に注目度の高いコンテンツを投稿してバズった場合、認知度が高まる可能性があります。またSNSは検索ワード経由ではないので、潜在層にアプローチすることができます。中長期な採用戦略としても活用できます。
しかもSNSは無料で、簡単に投稿でき、双方向のコミュニケーションも可能です。そのためSNSを採用活動に取り入れている企業はたくさんあります。ここで重要なのは、「求職者が魅力に感じる点」を想定して情報発信することです。「業務の効率化」や「研修」、「DX事例」など、先進性があるニュース性のあるものは、効果が出やすいでしょう。
4. 優秀な薬剤師の存在は成長だけでなく資産査定にも影響
優秀な薬剤師は、患者さんにも同僚にも好かれ、業務推進に欠かせない存在です。また管理薬剤師の場合、医薬品の管理だけでなくスタッフのマネジメントや教育にも大きな影響力があります。このような人材は、薬局や病院、ドラッグストアーが提供するサービスの質を左右します。そのため、薬剤師専門の求人サイトや転職エージェントに採用を依頼する企業が多数あります。
しかしその本質は、本当に欲しい人材像を定義し、ベストな環境を整え、アピールすることです。例えば大量の広告宣伝費を使って大々的に求人広告を展開しても、思ったような成果が出ない事例はたくさんあります。その多くは、自前のホームページを疎かにしています。確かに集客力のある転職サイトに掲載すれば、一定の求職者の目に留まるのは事実です。しかし彼らはその求人情報を見た後、求人元のWebサイトを必ずチェックします。そして、そこに自分と同じ価値観やキャリア、ライフスタイルがあるかどうかを確認します。その共感性が、応募率に大きく影響するのです。
また優秀な薬剤師の存在は、薬局のM&Aでも大きく影響します。いわゆるデューデリジェンスと言われる資産査定において、算定価値が大きく変わってくるのです。売却するかどうかはともかく、やはり良質なサービスを提供するためには、優秀な薬剤師は欠かせません。そういった人材を採用するためには、彼らのニーズに応える採用サイトが重要といえます。