小児の服薬指導は、薬の使用において、細心の注意が求められます。なぜなら、小児は体の発達段階で、個人差も大きいからです。
また年齢によっては、小児は自身の体の状態を理解したり、伝えることも困難です。そういった場合、対面したときの様子や保護者からのヒアリングを通じて、薬物治療の効果を判断する必要があります。
本記事では、小児の服薬指導のポイントについて解説します。
Contents
1. 小児の服薬指導とは
小児は大人と比べると、身体がまだ未熟で、薬への反応も異なります。そのため安全かつ効果的に薬を服用させるためには、薬剤師による丁寧な服薬指導が必要不可欠です。
服薬指導を通して、保護者は薬の効果や副作用、正しい飲み方などを理解し、安心して子どもに薬を飲ませることができます。
2. 小児の服薬指導で気をつけるべきこと
小児に対する服薬指導は、成人に対する服薬指導とは異なります。ここでは、そのポイントを解説します。
2-1. 用法や用量に細心の注意が必要
小児は、成人と比べると消化管や臓器がまだ未成熟です。そのため成人よりも効果や副作用が強くあらわれたり、逆にあらわれにくくなることもあります。お薬の用法や用量は、小児の年齢や体重に細心の注意を払う必要があります。
2-2. 薬物アレルギーのリスク
アレルギーは、数時間以内に起こる場合と、半日以上経ってから起こる場合があります。数分から数時間以内に起こる「アナフィラキシーショック」は、特に要注意です。例えば、血圧の低下や失神を引き起こす可能性があります。
2-3. お薬を飲みたくなる工夫も大切
小児の場合、素直にお薬を飲んでくれないこともよくあります。そんな場合、飲みたくなるような工夫を行うことも求められます。
例えば、そのお子様の好きなジュースやヨーグルト、ミルクなどに混ぜるのも効果的です。またブラートを使うと飲んでくれることがあります。ただし主食に混ぜることは避けましょう。例えば離乳食などに混ぜて、そのセットが嫌いになってしまう可能性があります。
2-4. 小児向けの服薬指導は保護者がポイント
小児は、自分で服薬管理をすることは困難です。そのため小児向けの服薬指導は、保護者がポイントになります。具体的には、お子様の健康状態のヒアリングやお薬の効能や用法・用量の説明を行います。
また同時に、お子様を励ましてあげて、お薬を飲むことに前向きになるような姿勢を作ることも大切です。
3. 小児科の製剤の注意点
小児向けの調剤の特徴としては、もともと小児を対象としたい医薬品開発が十分でないことが挙げられます。そのため、小児向けの剤形がなく、規格や濃度が適しません。その結果、小児科病院は製剤業務量が多くなる傾向があります。
また市販品のままでは対応できなかったり、濃度調節のために錠剤やカプセルの粉砕加工を行う調製が多いのも特徴です。
※参考/「小児科領域の薬剤業務ハンドブック」
4. 小児薬物療法認定薬剤師の資格について
小児の服薬指導には、成人の服薬指導とは異なる専門的な知識が必要になります。そのために「小児薬物療法認定薬剤師」の資格の取得がおススメです。
小児薬物療法認定薬剤師は、小児科領域における薬物治療に関する専門知識とスキルを持ち、医療チームの一員として活躍しています。
例えば小児の薬物動態、薬の副作用、薬物相互作用など、小児特有の薬物療法に関する深い知識を持っています。また患児や保護者に対して、分かりやすく、正確な服薬指導を行うことができます。そして医師や看護師など他の医療従事者と連携し、より安全かつ効果的な薬物治療を提供します。
特に複数の薬を併用する場合や特殊な投与方法が必要な場合など、複雑な薬物療法において、小児薬物療法認定薬剤師の専門的な知識と経験が活かされています。
5. まとめ
薬剤師は、小児から高齢者まで、薬物治療の入り口的存在です。
患者さんが服用するお薬の効果を最大限にできるかどうかは、薬剤師にかかっているといっても過言ではありません。
お薬を渡すだけでなく、ちゃんと服用し、その効果を実感してもらうところまでいけるかどうか。そのためには、説明だけでなく、円滑なコミュニケーションを通じて信頼関係を作ることが大切です。
小児の場合は、好きな食べ物との組み合わせや保護者の理解を深めることも重要な要素です。
服薬指導については、『服薬指導とは?患者さんを導く服薬指導のエッセンスを紹介!』も詳しく解説しています。こちらも、ぜひ参考にしてください。